東京都内随一の繁華街、新宿・歌舞伎町には、飲食店やレジャー施設など多様で物珍しい店が軒を連ねる。その一角にある雑居ビルをのぞいてみると、ベルトコンベヤーのレーンには 寿司すし ならぬ、わんこそばが流れていた。

https://www.yomiuri.co.jp/media/2023/05/20230514-OYT1I50070-1.jpg?type=large
客はわんこそばが流れるベルトコンベヤーを取り囲むように立つ。勢いよく杯を重ねる人、満腹で箸が止まる人――。いずれも自身との闘いに挑んでいるかのようだ(3日、新宿区で)

 5月上旬、千葉県から友人と訪れた大学1年の女子学生(18)は「自分の限界に挑戦したい……」とつぶやき、のれんをくぐった。

https://www.yomiuri.co.jp/media/2023/05/20230514-OYT1I50069-1.jpg?type=large
居並ぶ「ライバル」のペースを気にしながら、ひたすら食べ続ける(3日、新宿区で)

 「スタート!」。店員のかけ声と同時に、レーンから勢いよくおわんを取ってかき込む。40杯を超えたあたりからペースが落ちてきたものの、制限時間の40分間に131杯を平らげた。

 「おなかがはち切れそう。でも絶対また挑戦したい」。こう満足そうに語った女子学生は、おなかをさすりながら雑踏の中へと消えていった。

 回転わんこそば店「くるくるわんこ」は、SNSを中心に若者らの間で話題を集めている。

 そば以外に用意されているのは、麺つゆのほかはネギとしょうが、わさびの薬味3品のみ。客はそばを味わうこと以上に、「大食い」の記録にチャレンジしようと考えているようだ。店によると、男性の平均は120杯、女性は90杯ほどで、最高記録は昨夏に男性客が達成した836杯というから驚きだ。

 岩手県が本場のわんこそばだが、昨年6月に店をオープンさせた運営会社の田上裕斗社長(31)は「東京でも気軽にわんこそばを体験できるよう、アミューズメント感覚で楽しめる店を作りたかった」と話す。

 最近はインバウンド(訪日外国人客)も回復しつつあり、外国人の姿も目立つようになったそう。田上社長は「将来は日本の文化を体験できる場所の一つになれればうれしい」と夢を積み上げている。(写真と文・須藤菜々子)

https://www.yomiuri.co.jp/national/20230514-OYT1T50115/