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ロシアの民間軍事会社ワグネルによる週末の反乱は、始まったときと同じように突然終わった。ワグネル創設者エフゲニー・プリゴジンは6月23日、ロシア軍がウクライナにあるワグネルの基地を爆撃したと主張し、戦闘員たちに国境を越えてロシアに入るよう命じた。

1日後、プリゴジンは戦闘員を引き返させ、ベラルーシに退却したと報じられた。「血が流れるかもしれない瞬間がきた」「だから我々は引き返し、野営キャンプに戻るのだ」とプリゴジンは説明した。

だが血は流れた。モスクワへの行軍中、ワグネルの戦闘員は6機のロシア軍機を撃墜した。ヘリコプター5機と、空中司令・無線中継機として使われるイリューシンIl-22Mクートだ。報じられたところによると、6機の撃墜で乗員13人が死亡した。

Il-22Mの損失はロシア空軍にとって特に痛手となる。ロシア軍は、ウクライナ上空での空戦を調整するために、エンジン4基を搭載したプロペラ機のIl-22Mや同様の航空機を配備してきた。

重要な任務を担うこの航空機を撃ち落とそうとウクライナ軍はあらゆることを試みたが、ほとんど成功しなかった。結局のところ、これらの航空機はロシア領空内にとどまる傾向がある。

ワグネルによるIl-22Mの撃墜は、ウクライナにとって大きな恩恵となった。ロシア空軍が保有するIl-22Mとその派生機種はわずか30機だ。

週末の反乱は、ロシア正規軍の指導部と、ロシアの数ある傭兵会社の中で最も力のあるワグネルとの間の長きにわたる舌戦の集大成だった。

ワグネルは、ウクライナ東部ドンバス地方の廃墟と化したバフムートにあるウクライナ軍陣地への人海戦術で数千人の戦闘員を失った。プリゴジンはその攻撃を「愚かな肉弾攻撃」と呼び、戦闘員の命を無駄にしたとしてクレムリン(ロシア大統領府)を非難した。

週末にワグネル戦闘員がロストフナドヌーとボロネジを通ってモスクワへと向かう中で、プリゴジンはセルゲイ・ショイグ国防相を含むクレムリンの軍指導部の打倒を狙った。

プーチン大統領は反乱を終わらせるためにプリゴジンと何らかの取引をしたようだ。だが、その取引に軍指導部の刷新が含まれているのかどうか、そしてその刷新がウクライナにおけるロシア軍の作戦にどのように役立つのか、あるいはマイナスになるのかはまだわからない。

ともあれ、反乱はすでにウクライナに恩恵をもたらしている。ロシアの指導者たちの注意を一時的にそらし、ロシアとウクライナを結ぶ主要な補給線を混乱させた。また、ワグネルは今後ウクライナでの戦争から手を引くことになるかもしれない。

そして、ロシア軍は最も重要な特殊任務を担う航空機の1つを失った。6月24日にネット上に出回った動画には、ボロネジ近くで炎上しているIl-22Mが地面に向かって墜落する様子が映っている。プリゴジンは腹を立てたという。ある特派員にプリゴジンは、戦闘員の「愚か者」が「離陸するものすべて」を撃ったのだと語った。

プリゴジンはIl-22Mの乗員の家族に5000万ルーブル(約8400万円)の支払いを申し出たと伝えられている。
ワグネルのどの防空システムがIl-22を撃墜したのかは不明だ。戦闘員らは少なくとも2つの短距離地対空ミサイルシステム(ストレラ-10とパーンツィリ)を携えてロシアに乗り込んだ。最大飛行高度3万9000フィート(約1万1900メートル)のIl-22Mはこれらの地対空ミサイルシステムの射高の上を飛行することができるため、ワグネルの戦闘員はIl-22が飛行場を離陸して上昇しているときに撃った可能性がある。

墜落現場をとらえた写真や映像から、撃墜されたクートはIl-22M11-RT型だったようだ。同機の主な役割は遠く離れたロシア軍の部隊間の無線中継だ。

イリューシン航空機と、数の少ないジェット機のベリエフA-50早期警戒管制機は、ウクライナでの戦争で重要な役割を果たしてきた。