https://newsdig.ismcdn.jp/mwimgs/2/8/860w/img_281c265fac8554c62681f48a902fb257146968.jpg

林業のまち、鳥取県日南町で注目の女性彫刻家の作品展が始まりました。
クセが強いというかインパクトがすごいというか…日々のモヤモヤを吹き飛ばす作品たちを生み出す情熱に迫りました。

土江諒 記者
「日南町美術館でホルモンが分泌されまくる展覧会が始まっています」

6月30日から日南町美術館で始まった作品展は、その名も「ホルモンと情熱のあいだ」。タイトル通り、個性的な作品がズラリと並びます。

スラリとした長い脚。9頭身のスレンダーな人面アルパカです。
作品名は「スーパーライダー」。高さは180センチ近くもあります。

キレてる!キレてる!筋骨隆々のブーメランパンツの男性がばっちりポージングしている作品は「サイドチェストウサギ」。

そして、突撃しすぎた「突撃隣の晩御飯」。
茶碗を持った男性が突撃しすぎて壁にめり込んでいます。

彫刻家 ねがみくみこさん
「人間のしくじっているような姿。気取らない自然体の姿を表現したいなと思いまして」

作品を手掛けるのは群馬県出身の彫刻家ねがみくみこさんです。

東京藝術大学を卒業し、現在は都内のアトリエで制作活動に励んでいますが、大規模な展覧会は今回が初めてです。

およそ80点の作品の中から、最新の木彫作品を紹介してもらいました。

彫刻家 ねがみくみこさん
「これは『しくじり翁』というタイトルですが、かぐや姫をモチーフにしていまして、翁が竹を切るじゃないですか。よくかぐや姫ごと切らなかったな、っていうのが昔から疑問で…」

「しくじり翁」。
竹の中には、頭が一刀両断されたかぐや姫がいるという衝撃作です。

「カヤ」という木材が使われていて、ねがみさんの作品の多くはこうした木材を原材料としています。

変わってこちらは…

彫刻家 ねがみくみこさん
「『パワーバランス桃太郎』という作品です。
お尻の部分は桃太郎なんですけど、鬼に勝った桃太郎だけど、鬼の鬼嫁には勝てなかった、という絶妙なパワーバランスみたいなものを表現しています」

ねがみさんは、なぜこうしたインパクトのある作品にこだわり続けているのでしょうか。

彫刻家 ねがみくみこさん
「ユーモアが生きていく上で大切だなと思っていまして、私の場合は生活の中のちょっとした笑いみたいなものとか、出会った面白いものを作品にしています」

幼い頃に夢で見た情景や、日々の生活で見つける面白い人物を、大学で学んだ彫刻の技術で作品として昇華していると言います。

今回、日南町が"攻めた"展覧会を企画したのには、こんな理由がありました。

日南町美術館 浅田裕子 主任学芸員
「ねがみさんとお会いしたのが2年前でした。その時って世の中が暗い雰囲気があったので、みんなが楽しんで、笑いながら見ていただけるそういった作品がないかなというのが第一にありました」

中毒性のある作品が悲劇を喜劇に見せ、日々の鬱屈とした気持ちを吹き飛ばす。梅雨のじめじめ、そしてアフターコロナの今にぴったりの作品展だと考えました。

彫刻家 ねがみくみこさん
「難しく考えずに、感じたまま楽しんでいただければいいなと思っています」

クセがすごすぎる作品展「ホルモンと情熱のあいだ」は8月20日まで。7月9日までは開館時間を延長し、ナイトミュージアムも開催されるということです。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/bss/574424