「6.25休戦協定」70周年記念式典から“見えたこと”
先日ニュースを見ていると、北朝鮮で6・25戦争停戦協定締結70周年に開催された軍事パレードの模様が放送されていた。

北朝鮮の軍事パレードでは金正恩国務委員長をはじめ、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相、中国共産党政治局員で全国人民代表大会(全人代)常務委員会副委員長の李鴻忠(リ コウチュウ)氏らがともに参加していた。

韓国でも休戦協定70周年記念式典が開催された。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は演説で、「韓国は困難に直面した時に命をかけて駆けつけてくれた友好国に対する感謝の気持ちを忘れない」としながら、「1953年の休戦協定締結から70年が経った今も、国連軍司令部は朝鮮半島の平和を守り韓国を守護する核心的な役割を果たしている」とし、国連軍司令部の役割を強調した。

北朝鮮と韓国でともに行われた6・25戦争停戦協定締結70周年の式典では、私が学校で習った「左vs右」の構図がハッキリと見える。

当然、この両国を見比べれば死んでも北朝鮮には行きたくもないし、賛同もできないと私は強く思った。

「脱北エリート」が明かす"知られざる現実”
今回、戦争停戦協定締結70周年の報道番組(北と韓国)を見ていて、在日脱北者の李テギョン先生と話す機会があった。

李先生は山口県の朝鮮学校から小学1年の時、朝鮮総連が推進した帰国事業で親に連れられ北朝鮮に帰った人物だ。北朝鮮では人民軍(徴兵)から医者になり、最終的には平壌近郊の病院長にまでなったいわゆる脱北エリートの1人だ。

そんな李先生が日本への思いと北朝鮮での経験、脱北に至った経緯を書いた著書『囚われの楽園』(ハート出版)を出された。

囚われの楽天
李先生はこの本に関して、「是非、朝鮮学校に通う学生とその父兄にも読んでほしい。在日としての北朝鮮の姿を知ってほしい」との熱い想いを話された。普段から親交のある私はよく聞いている内容だが、やはりこれまでの脱北者の苦労話とは一線を画している内容なのだ。

そんな先生に今回の軍事パレードについて聞いてみたら、こんな答えが返ってきた。

「北朝鮮がいう戦勝節とは、1953年7月27日の韓国(朝鮮)戦争で休戦協定を締結した日を『戦争勝利の日』と“捏造”している日のことだ。 1950年6月25日は、そもそも金日成(キム·イルソン)主席が韓国を武力で制圧しようと侵攻した侵略戦争だ。

その時にはソ連の承認を得て、戦車と武器の支援を受け、中国が『抗戦』という美名の下で参加した完全な侵略戦争なのだ。それを金日成は韓国と米帝国主義の侵略(資本主義)から祖国(左派、主体思想=金家族信仰思想)を守護した『勝利の戦争』と自画自賛し、7.27を戦勝記念日と規定しているのだ」

「金正恩氏の一歩後ろから苦笑いしていて…」
先生は少し怒り気味にそう話す。続けて、

「北朝鮮では、1948年2月8日の人民軍創設を機に始まった閲兵式(軍事パレード)は現在まで続いている。

今年2023年7月27日の閲兵式の武力特徴は、無人偵察機セッピョル4型と無人攻撃機セッピョル9型をはじめとする大陸間弾道ミサイル(ICBM)と核魚雷『津波』を登場させたことだ。