東京電力は8月24日、福島第一原発にたまる処理水を太平洋に放出する作業を開始。原発事故で発生した汚染水の処理後に残るトリチウムなどの放射性物質を含む処理水を約30年間にわたって処分していく方針だ。

 現在、分析されたトリチウムの濃度は1リットルあたり43から63ベクレルと、国の基準(6万ベクレル)を大きく下回っているが、中国の国際番号から、福島県などの自治体や飲食店に迷惑電話がかかっている。これについて、30日には中国外務省の汪文斌副報道局長が、「現在の局面を招いた根本的な原因は日本政府が核汚染水の海洋放出を強行し、国際社会の憤慨を引き起こした」からだと報じられている。

 これを受けてSNSで話題になっているのが、処理水の名称「ALPS処理水(アルプス処理水)」と名前が似ている、サントリーが販売するミネラルウォーターの「天然水」だ。工場のエリアによって「南アルプス」「北アルプス」のロゴがパッケージに記載されていて、一般的にも“アルプスの天然水”として認識している消費者は多い。それだけに心配の声が相次いだ。

《ALPS処理水の風評被害って、どちらかというと福島県よりも長野県とかのアルプス天然水の方が風評被害生むんじゃないの?》《サントリーの風評被害、無ければ良いけど…》《汚染水の多核種除去設備をALPS(アルプス)って連呼するの南アルプス天然水への風評被害なんじゃないかと思ってるw》《アルプス処理水とは?サントリーのアレとは違います》《サントリー『アルプスの天然水』東京電力『ALPSの汚染水』》《アルプス処理水って呼ぶの、よくサントリーが怒ってこないなと思う。#風評被害》

 南アルプスの天然水に風評被害はないのか。サントリー食品インターナショナル広報の担当者に聞くと、「特に本件について、弊社への問いあわせや指摘などは来ておりません」と回答。今のところ、影響はないようだが、過去、覚せい剤取締法違反(所持)容疑で逮捕されたCHAGE and ASKAのASKAが「覚せい剤ではなく、アンナカ(安息香酸ナトリウムカフェイン)だと思っていた」と供述したことで、新聞に「群馬県安中市が困惑」と報じられて、自治体関係者のコメントが注目された。

 コロナ禍の2020年2月末には米PR会社が調査結果を発表。ビールを飲む米国人の「38%がコロナビールを買わない」と回答したとして、世界各国のメディアが報じ、不名誉な形で「コロナビール」の知名度が上がった。

「ALPS処理水」は多核種除去設備(Advanced Liquid Processing System)の略だというが、もっと違う呼び方はなかったものか。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/328430