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近年はテキスト生成AIの発達により、Amazonなどの電子書籍販売プラットフォームで「AIが執筆した書籍」が多数販売されており、中にはAIが書いた「キノコ採りガイド」も存在します。ところが、「こうした書籍に含まれるアドバイスには危険なものもあるため買うべきではない」とキノコ採り専門家が警告していると、イギリスの大手新聞であるThe Guardianが報じています。

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The Guardianによると、Amazonではチャットボットが執筆したと思われる野生のキノコ採りに関するガイド本が多数販売されているとのこと。AI製キノコ採りガイド本のタイトルには、「Wild Mushroom Cookbook: form [sic] forest to gourmet plate, a complete guide to wild mushroom cookery(野生のキノコ料理本:森からグルメプレートへ、野生のキノコ料理完全ガイド)」「The Supreme Mushrooms Books Field Guide of the South-West(南西部の至高の野生キノコ本フィールドガイド)」といったものがあるそうです。

AIが書いたと思われるキノコ採りガイドから抽出した4つのサンプルについて、The GuardianがAIコンテンツ検出ツールを提供するアメリカ企業のOriginality.aiに調査を依頼したところ、すべてのサンプルについてAI検出スコアが「100%」を記録しました。つまり、いずれの本もAIによって書かれた可能性が限りなく高いと、Originality.aiは判断したということです。

これらのキノコ採りガイドには、「焼きたてのキノコの甘い香りが空気中に漂い、母との優しい思い出がよみがえりました」「野生のキノコを採集することは、自然の豊かさや膨大な花のタペストリーと私たちを結びつける、深い実りのある体験です」など、それっぽく聞こえるものの意味がわかりにくい文章が含まれているとのこと。

イギリスのキノコ採りガイド兼フィールド菌類学者であるレオン・フレイ氏が見たサンプルには、食べられるキノコを識別する方法として「匂いと味」を参考にするというアドバイスが含まれていたとのこと。

当然ながら、毒キノコを「味」で識別しようとすればその時点で毒に当たってしまうため、これは非常に危険なアドバイスです。フレイ氏は、「この本はキノコの識別方法としてテイスティングを奨励しているようです。これは絶対にあってはなりません」と警告しています。カナダ・カールトン大学の菌類学者であるマイロン・スミス教授は、これらの本は完全に無責任だと非難し、「食用と非食用のキノコの違いには非常に微妙なものもあり、それを見分けるには経験豊富な目と知識が必要です」と述べました。

また、中には食用ではあるもののイギリスでは保護の観点から採取が禁止されているキノコを「採れる」と書いてあるものもあったそうで、フレイ氏は「信頼できるソースの本を選ぶことをオススメします」と主張しています。キノコに関する非営利団体のNew York Mycological Society(ニューヨーク菌学会)も、AI製のキノコ採りガイド本は人の命を奪う危険性があると警告しています。

The Guardianが危険なAI製キノコ採りガイド本についてAmazonに連絡したところ、広報担当者は注意喚起された本についてレビューを行っていると回答。「私たちはこのような問題を真剣に受け止め、安全なショッピングと読書体験を提供することに尽力しています。私たちはこれを調査しています」と、広報担当者は述べました。

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