「うんち、便、糞」など 呼び方は色々だが、いずれにしてもあの独特の臭いは、誰もが不快な臭いであることはまちがいないだろう。

しかし、なぜうんちは臭いのだろうか?

本稿では、うんち(以降、便または排便)が、なぜ臭いのかについて説明する。

なお、本稿は医学的な内容を含むため、文末に専門家についての情報を記したので、興味のある方は、ご覧頂きたい。

便の臭い、あの嫌な臭いの原因は?
UCLAヘルスの臨床栄養士シェルビー・ヤチェツコ氏、およびジョージア大学エマ・レイン博士の両氏によると、

便の臭いの主な原因は、「スカトール」や「インドール」という成分なのだという。

私たちの体は、食べ物を消化して栄養を吸収するが、その過程で不要な物質も生まれる。
これらの不要な物質が便となって排泄されるのだ。

便の臭いは、これらの不要な物質が腸内細菌によって分解される際に発生する、ガスが原因である。

このガスに含まれるのが、スカトールやインドールという成分なのだ。

面白いことに、ジャスミンの香りにも、「低濃度」のスカトール成分が含まれているという。

1万種類以上の腸内細菌が、便の臭いを作り出す

私たちの体には1万種類以上の腸内細菌が存在し、その数は人間の細胞の数よりも多いと言われている。

これらの腸内細菌は消化に不可欠な役割を果たしているが、同時に便の臭いの原因でもある。

腸内細菌は分解する食べ物や物質の種類によって、それぞれ異なるガスを発生させるという。

さらに、消化管や口の中の細菌も、便の臭いに影響を与えていることがわかっている。

便の臭い ~食生活やサプリメントの影響
私達が食べたものは、腸内細菌によって分解される。

そのため、食生活やアルコール摂取、サプリメントや処方薬などの影響で、便の臭いが変わる場合がある。

例えば、お菓子によく使われるソルビトールなどの糖アルコールは、便の臭いを特にひどくする可能性があるという。

また、卵、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、玉ねぎ、豆類、肉類などの硫黄を含む食品は、消化過程で硫黄ガスを発生させ、腐った卵のような臭いを引き起こす可能性がある。

その他にも、以下のような要因が便の臭いに影響を与えると言われている。

・タンパク質の摂取量 : タンパク質を多く摂取すると、便の臭いが強くなる。
・便秘 : 便秘になると、便が腸内に長く留まり臭いが強くなる。
・下痢 : 下痢になると、便が十分に消化されずに排泄されるため、臭いが強くなる。
・腸内環境 : 腸内環境が悪化すると、悪玉菌が増殖し、便の臭いが強くなる。

加工食品やアルコールが、便の臭いを悪化させる理由

ヤチェツコ氏は、次のように指摘している。

「加工食品や甘い食品は消化しにくいため、腸内細菌がより多くのガスを発生させ、便の臭いが強くなる。」

また、レイン博士は次のように補足した。

「大量のアルコールを摂取すると、腸や消化過程に悪影響を与え、便の臭いが強くなる。」

これらの食品が便の臭いを悪化させるメカニズムは、以下の通りだ。

・加工食品 :

加工食品には、消化しにくい添加物や化学物質が多く含まれているが、これらの物質は腸内細菌のエサとなり、ガスや悪臭成分を発生させる。

・甘い食品 :

糖分は腸内細菌のバランスを崩し、悪玉菌を増殖させる。
悪玉菌は、ガスや悪臭成分を発生させる物質を生成する。

・アルコール :
アルコールは腸内環境を悪化させ、消化機能を低下させる。
その結果、便が十分に消化されずに排泄され、臭いが強くなる。

便の臭いの変化 ~原因と対処法
便の臭いがいつもと違うと感じたら、まず食生活や薬の服用状況を見直すことが大事だとレイン博士は指摘する。

多くの場合、以下の変化が原因で便の臭いが一時的に悪化することがあるようだ。

・食生活の変化 : 新しい食材や加工食品を多く摂取した。
・薬の服用 : 抗生物質など、腸内環境に影響を与える薬を服用している。

これらの原因による臭いの変化は、消化器官が新しい環境に適応するにつれて、徐々に改善されるという。