「火車」とは仏教用語だが、韓国製の自動車の話を聞くたびに、この言葉を思い出してしまう。米国で「火災発生の可能性がある」としてリコールになる自動車があまりにも多いからだ。

現代(ヒョンデ)自動車は、エンジン開発・販売を縮小して、「電気自動車(EV)と燃料電池車などエコカー中心」とする戦略を立てた(韓国経済新聞2020年1月30日、『エンジンが必要ない自動車時代を操り上げる』)。

「脱炭素」の流れとともに、内燃機関車の主力であるエンジンの欠陥に手を焼いたためとされる。

米紙「コンシューマー・リポート」が、現代・起亜(キア)の自動車の〝火車の危険〟を採り上げたことは、情報サイト「マネー1」(24年2月22日)で知り、改めて原文(3月8日付の差し替え記事)を読んだ。

《米運輸省道路交通安全局(NHTSA)によると、10年以降、現代・起亜の3100台以上が火災に見舞われた》

《これらの火災は、エンジンの問題に関連している》

米CNNは22年2月9日、以下の記事を伝えた。

「現代・起亜は、米国でスポーツ用多目的車(SUV)など自社の自動車50万台近くを対象に、走行していないときに車両が自然発火する可能性があるとして、建物から離れた屋外に駐車するように呼びかけた」

ロイターによると、現代・起亜は23年8月、米国で「火災の危険性がある」として9万1000台強をリコールすると発表した。

同年9月には、「エンジン発火のリスクがある」として、米国で337万台をリコールすると発表した(ロイター9月28日)。

韓国ネットには「なぜ米国でだけリコールし、韓国ではしないのだ」との不満の書き込みがあふれた。

現代自動車は今年2月、米国でプレミアムブランド「ジェネシス」の一部の車種、約9万台をリコールすると発表した(中央日報2月17日)。理由はまた、「火災のおそれ」だった。

同年3月、今度は日本でも販売しているEV「アイオニック5」など17万台を韓国内でリコールすると中央日報が報じた。同月末には、起亜がSUV約42万台を米国でリコール。これは、「駐車していた車が動くことも」(同3月31日)だった。

韓国車は米国で大量に売れていた。しかし、輸出増加率は今年2、3月と連続して前年同月比マイナスを記録した(聯合ニュース4月1日)。

主力市場の米国で〝火車忌避〟が高まっているからかもしれない。 (ジャーナリスト 室谷克実)

https://www.zakzak.co.jp/article/20240404-OSQ3VPOBBFMXXKHDWDKHATFKQ4/