誰かが教える必要があった。神ではなく魔王に仕えるための心構えを。
誰かが救う必要があった。神なき世に暮らすひとびとを!
わたしは努力した。だが、わたしはおのが力の限界をも知る誠実な男だ。
だから、わたしはマーサを求めた。彼女の大いなる力を…ああ、けして
わたし自身の為にではない。人々の為に!欲したのだ。
たとえ、結果として、この手が血赤に染まろうと…故郷のひとびとを裏切り、
我が神を奉じぬ奴隷たちを、多く死に至らしめることになるとしても…
わたしは、わたしのさだめをなさなければならなかった!大いなる天数の前には、
たかが人間一匹、逆らうことなどできはしない!だが…。
私がやっとの思いでマーサの居場所をつきとめ、この手に無事に取り戻したとき……
彼女はすでに、リュカ、お前を生み落としていたのだな。…ふふ…ははは…あーっはははは!」