「結婚なんて噓ですよね」 彼の縋るような目を見れば心はわかる。ローズに否定してほしいのだ。 ドエムと結婚するのは噓だと。本当は彼と結婚するのだと。

「先輩はあの日、何のために……!」 あの日、ローズと彼は愛を誓い合った。そして、その誓いをローズが裏切ったのだ。

「僕も誰にも理解されない夢があったから、先輩の気持ちは誰よりもわかるんです」 彼の夢が何なのか、ローズにはわかる。言葉にしなくても通じ合うのだ。 二人は、同じ夢を見ているのだから。シドの夢はローズの夢であり、ローズの夢はシドの夢。 その夢は、二人で添い遂げること。