殿山泰司によると勲の父 山形巌の逸話


永井荷風が仕事場にしたり食事に行ったりして有名な麻布市兵衛町の「山形ホテル」は、大正6年ごろオープンし約15年間営業して昭和の初期に廃業したという。

ホテルの主人は奈良県の人で、これが5歳のときに大阪で人さらいにあってサーカスに売られ、世界中のアチコチを転々とし、ベルリンで日本婦人と結婚し、ロンドンで男子をもうけたのを機に、長年のサーカス暮らしで蓄財もあって、祖国へ帰り外国語が使える商売というのでホテルを開業したという。
(人身売買された山形巌)

こんなことを書いたのは、きょうNHKテレビの土曜ドラマの本番があり、そのVTRの合間に、一緒に仕事をしていた山形勲から、おれはロンドン生まれだといわれてビックリし、子どものときに永井荷風や直木三十五をみかけたことがあると言われてビックリし、そして「山形ホテル」の由来を聞いたからなんだ。