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毎日新聞 2021/10/19 17:42(最終更新 10/19 17:42) 722文字




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衆院選が公示され党首の街頭演説に集まった人たち=東京都新宿区で2021年10月19日午前10時13分、本社ヘリから尾籠章裕撮影(画像の一部を加工しています)

 女性国会議員の割合とともに課題となっているのが、ジェンダー平等の取り組みをどう加速させるかだ。実現を求める声が高まっている「選択的夫婦別姓」を巡っては、導入に慎重な自民党と積極的な他党で違いが鮮明になっており、選挙戦で重要な争点となる可能性がある。

 自民は公約で選択的夫婦別姓に言及しなかった。党内保守派を中心に反対意見があり、夫婦別姓ではなく「旧姓の通称使用」を拡大すべきだという意見は根強い。岸田文雄首相も国会答弁で「賛成の声にも反対の声にも耳を傾けてきた」と述べただけで、導入の是非には踏み込まなかった。



 一方、同じ与党の公明党は、公約で「選択的夫婦別姓の導入を推進する」と踏み込んだ。13日の参院代表質問で山口那津男代表は「夫婦別姓が選べない国は日本だけだ」と指摘し、制度導入が不可欠だと訴えた。

 野党も制度導入に前向きだ。立憲民主党の枝野幸男代表は「選択的夫婦別姓の導入は私の一丁目一番地」と明言しており、共産党の志位和夫委員長も19日の公示後の第一声で「選択的夫婦別姓も大争点になっている」と述べた。国民民主党、社民党、れいわ新選組も制度導入を求めている。「野党共闘」から距離を置いている日本維新の会も、旧姓使用に法的効力を与える形での夫婦別姓実現を公約に盛り込んだ。



 自民の慎重姿勢が突出しているのは、ジェンダー平等のもう一つの主要課題である同性婚にも当てはまる。立憲、公明、共産、維新、国民、社民、れいわはいずれも同性婚の実現や検討を公約に盛り込んだが、党内に反対意見のある自民は同性婚への言及自体を避けている。首相は9月の総裁選でも「議論があってもいいと思う」と述べただけで、あえて踏み込まない姿勢が際立っている。【青木純】