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毎日新聞 2021/10/23 20:06(最終更新 10/23 21:53) 478文字




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日本産科婦人科学会のホームページ

 体外受精させた受精卵の全染色体を調べて異常のないものを母胎に戻す「着床前検査」について、日本産科婦人科学会(日産婦)は23日、不妊治療に一定の有効性があるとして、反復流産の女性などに限って導入する方針を明らかにした。不妊治療として条件付きで認めることになる。今後、実施施設の要件や対象者の範囲などを検討する。

 着床前検査は不妊治療の一環として海外で広がっているが、21番染色体が1本多いダウン症など本来生まれうる受精卵の排除につながりかねない倫理的懸念がある。日産婦はこれまで一般診療としての実施を禁じる一方、2020年から大規模な臨床研究を開始。体外受精したものの2回以上続けて妊娠できなかった▽流産を2回以上経験した▽夫婦いずれかに染色体の構造異常がある――カップルを対象に、流産率や妊娠率が改善するかなどを調べた。



 その結果、正常な受精卵が見つかれば、一般的な不妊治療の実績と比べて妊娠率や流産率の改善が期待できることが分かったとして、「有用」と判断した。

 日産婦は、臨床研究に限って実施を認めてきた見解を年明けにも改定する考え。【岩崎歩、渡辺諒】