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毎日新聞 2021/10/24 05:00(最終更新 10/24 05:00) 有料記事 1514文字




 上空を旋回する米軍ヘリコプターの飛行音が声をかき消す。街の中心部に米軍普天間飛行場があり、その周囲に住宅が密集する沖縄県宜野湾市。主婦の与那城(よなしろ)千恵美さん(48)はこの街で小学5年の長男(11)と小学1年の長女(7)を育てる。

 与那城さんが生まれる前から普天間飛行場はあり、米軍機が空を飛び交うのは日常だった。その環境に危険が潜むことを痛感したのは長女を預けた保育園で事故が起きてからだ。2017年12月、宜野湾市野嵩(のだけ)の緑ケ丘保育園でトタン屋根に米軍ヘリのプラスチック製部品が落ちているのが見つかった。回転翼の損傷を検知する装置に付ける直径約7・5センチの円筒形のカバーだった。

 与那城さんは銀行の駐車場にいる時に保育園からのメールでそれを知った。「もし子供たちの上に落ちていたら」。メールには「子供たちは全員無事です」とあったが、頭が真っ白になった。騒ぎが落ち着くのを待って保育園に迎えに行き、長女を抱きしめた。

 闘いはそれからだった。直前に米軍ヘリが付近を飛行していたが、米軍は落下を否定。米軍機は本来の飛行ルートではないのに、その後も園の上を飛び続けた。与那城さんら保護者たちは署名を集め、真相の究明と上空の飛行禁止を求めた。これまでに3回、東京で防衛省や外務省などの担当者と面談し、国会議員や地元の知事、市長らにも実態の把握と改善を訴えた。

 だが、…

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