https://www.sponichi.co.jp/society/news/2021/10/25/kiji/20211025s00042000156000c.html
[ 2021年10月25日 05:30 ]

https://www.sponichi.co.jp/society/news/2021/10/25/jpeg/20211025s00042000147000p_thum.jpg
野党系新人に競り負け、頭を下げる若林洋平氏=24日夜、静岡市
Photo By 共同

 岸田政権発足後、初の国政選挙となった参院静岡、山口両選挙区の補欠選挙が24日投開票され、自民王国の静岡で公認候補が敗北を喫し、衝撃が走った。党の新しい「選挙の顔」となった岸田文雄首相は初陣でつまずき、31日に投開票が迫る衆院選に不安を残した。

 静岡では元県議の無所属新人山崎真之輔氏(40)=立憲民主、国民民主推薦=が初当選を確実。自民党の元御殿場市長若林洋平氏(49)=公明推薦=とのし烈な競り合いを制した。山口では比例代表から転出した自民党前職の元経済産業政務官北村経夫氏(66)=公明推薦=が3選を決めた。

 首相は2補選を衆院選の前哨戦と位置づけ、2勝して衆院選に弾みをつける戦略を描いた。告示日の7日と最終盤の21日の2回も静岡入り。「1カ月の間に総裁が2回も静岡に来るという、あり得ないことが起きた」と陣営の士気は最高潮に達した。共産党候補も立候補し、政権批判票が分散したことも有利とみられていた。

 静岡で1敗。この衝撃は「大きすぎる」と自民党関係者は頭を抱える。静岡は17年衆院選では8選挙区で6勝した自民の牙城だけに「静岡は圧倒的に勝たなければいけない選挙区だ。大差で勝たなければいけなかった。静岡を落とすなんてあり得ない」と敗北を受け止めきれない様子だった。

 自民党は菅政権下で臨んだ4月の衆参3つの選挙で野党統一候補に全敗。8月には菅前首相のお膝元、横浜市長選で、盟友の小此木八郎元国家公安委員長が野党共闘で臨んだ山中竹春氏に完敗した。

 野党共闘が加速した衆院選では、289選挙区のうち半数近い142選挙区で与野党一騎打ち。自民の接戦区も共同通信社の序盤情勢調査では70程度あり、“静岡ショック”を受けて戦略の見直しを迫られることになった。

 自民党の遠藤利明選対委員長はこの日夜、「衆院選を戦っている皆さんと改めて力を合わせ岸田総裁を中心に一致団結していく」と党本部で記者団に語った。衆院選投開票まで残り1週間。自民の新たな「選挙の顔」となった岸田首相にとっては気が休まらない日々が最後まで続きそうだ。