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[ 2021年10月25日 05:30 ]


衆院選2021 31日投開票
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活動中に愛用するスニーカーの裏を見せる森下千里 (撮影・小田切 葉月)
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 宮城5区は元グラビアアイドルで自民党の新人森下千里氏(40)と、9選を目指す立憲民主党の安住淳国対委員長(59)の戦いがし烈を極めている。森下氏は24日、午前7時からJR松島海岸駅前に立ち、10カ所以上で演説した。25年間で築き上げた「安住王国」に対し、二階俊博前幹事長(82)直伝の「白スニーカー戦法」で選挙区を走り回り支持を拡大。セクシーを封印して王国切り崩しを狙う。

 青空が広がるJR松島海岸駅前に、森下氏の声が響いた。演説中にすれ違う支援者と目を合わせ、笑顔でグータッチ。被災地のインフラ整備や、女性活躍などの政策を訴えた。陣営によると「支援者の方も増えてきているし、事務所にも応援の電話がよくかかってきます」と手応えを感じている。後半戦には高市早苗政調会長(60)や牧島かれんデジタル相(44)らの応援ラッシュも始まる。

 安住氏との一騎打ちとなった宮城5区。当初は選挙区内に約40拠点の後援施設など、強固な地盤を持つ安住氏に、森下氏がどう立ち向かうかが課題だったが、猛烈な追い上げを見せている。愛知県出身で選挙区地域にゆかりはなく、選挙活動も初めての森下氏への支持が高まっている要因の一つに、地道な辻(つじ)立ちがある。公示前に約1600回、今では2000回を超える活動を支えるのは足元だ。

 「白いスニーカーが真っ黒になるまで歩きなさい」

 今年3月、宮城5区支部長への選任を正式に申請するために党本部を訪れ、二階氏と面会した時に受けた助言。森下氏は「アドバイスを守って継続中です」と話し、現在は3足目の相棒だ。

 今年4月に石巻市内に移住し、6月から辻立ちを開始。SNSでは「辻立ちクイーン」と自称し、地元の人たちと触れ合いを重ねてきた。自らの足でビラのポスティングなども行う中、濡れた道で足を滑らせ側溝に落ちたこともある。「今は滑りにくさで靴を選んでます」とこだわりも語った。

 支援者の50代女性は「一緒に芋掘りをした。何でもひた向きで、応援したくなる」と評価。第一声を上げた19日には「皆さまとともに生涯、頑張っていきたい」と涙を見せる場面も。地元関係者によると、特に40〜50代からの支持が集まっているという。

 想定外の支持拡大に、対応を迫られるのが安住氏。1996年の初当選以来、8期連続当選を果たし、過去3回の選挙では自民党候補をほぼダブルスコアで撃破。今回の苦戦には、17年の衆院選で希望の党への公認申請を見送り、無所属で出馬した影響からか支持固めが進んでいない、との見方もある。

 当初陣営側は「自身の選挙区での演説は19、20日だけ。あとは他の候補者の応援演説で全国を回ります」と説明。この日は神奈川9区など4カ所で応援演説を実施。コロナ対策やアベノミクスの廃止を声高に訴えた。陣営は否定したが、安住氏本人は「入りますよ」とテコ入れを考慮してか、今後の地元入りを示唆した。

 25年間の結束を信じ、不動と思われた「安住王国」。千里の道を白スニーカーで走り続け、ついに背中が見えてきた。