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2021年10月26日17時52分

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新しい資本主義実現会議で発言する岸田文雄首相(右から2人目)=26日午前、首相官邸




 岸田文雄首相は26日、自らが掲げる「新しい資本主義」のビジョンや具体策を話し合う「実現会議」の初会合を開き、衆院選の真っ最中に看板政策を始動させた。選挙戦のアピール材料にしたい考えだが、別の新たな会議を複数発足させる方針を示すなど、議論の着地点を不安視する声も出そうだ。野党からは、目玉政策にもかかわらず具体像が示されない現状に「理解不能」(立憲民主党の枝野幸男代表)と批判が出た。


 初会合は約1時間20分に及び、首相は最後まで出席。有識者メンバー15人の発言に耳を傾けた後、「成長戦略によって生産性を向上させ、その果実を働く人に賃金の形で分配することで広く国民の所得水準を伸ばし、次の成長を実現していく」と強調した。この後、茨城県つくば市の街頭演説でも、所得などの引き上げを訴えた。
 実現会議の役割は、新しい資本主義の青写真を描くこと。ただ、首相は初会合で分配の原資を稼ぎ出す成長戦略の実行に向け、「デジタル田園都市国家構想実現会議」と「デジタル臨時行政調査会」を発足させると表明した。
 さらに、賃上げや社会保障の拡充を目指し、「新たな全世代型社会保障構築会議を立ち上げ、その下に公的価格の在り方を検討する委員会を設置し、議論を進める」とも語った。
 急ごしらえの会議が乱立することで、議論の整理や会議同士の役割分担が課題となる。松野博一官房長官は記者会見で「具体的な会議の立ち上げは、関係大臣が連携して早急に準備を進めていく」と述べた。
 野党各党は「新しい資本主義」に否定的だ。枝野氏は26日、宮崎市で記者団に「首相はきょう会議体をつくったが、国民には何も示さずに選挙する。理解不能だ」と指摘。共産党幹部は「スローガンだけで、中身が何もない。アベノミクスも批判せず、本当に看板だけの会議になるのではないか」とやゆした。