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毎日新聞 2021/10/26 16:00(最終更新 10/26 16:24) 有料記事 1839文字




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ファクトチェック「誤り」

 31日投開票の衆院選で、「候補者の性別が公報に掲載されない」という報道に関し、「男女比がわからなくなってしまう」といった反応がツイッター上で広がっている。しかし、総務省によると、候補者の性別は立候補の際に届け出ることになっており、男女比などの統計が取れなくなることはない。こうした言説は誤りだ(ファクトチェックの基準)。【藤沢美由紀/デジタル報道センター】

NHK報道を機に拡散
 こうした反応が広がったきっかけは、NHKが10月16日付で報じた「衆院選 47都道府県の選管 候補者の性別 公報に掲載せず」というニュースで、以下のような内容だった。総務省は今回の衆院選で比例代表の立候補者の性別を官報に載せて告示する(知らせる)のをやめ、2020年7月、都道府県の選挙管理委員会に対しても小選挙区の候補者について同様に、告示の際に性別を公表しないよう通知した。NHKが確認したところ、47都道府県すべての選管が今回、「公報」に候補者の性別を掲載しないと答えた、という。

 総務省は毎日新聞の取材に通知を受けた各都道府県選管の対応について「把握していない」としているが、毎日新聞が北海道、東京都、大阪府、福岡県の各選管に取材したところ、いずれも「今回の衆院選から小選挙区候補者の性別を公報などに記載しないようにした」と回答しており、確かに性別を掲載しないよう改める動きが広がっているようだ。

 NHKのこの報道に反応する形で、ツイッターでは、「女性候補者の割合を調べる公的資料がなくなるのでは」「男女比の統計が取れなくなる」といった懸念や、「女性議員の割合を増やす話はどうなるのか」「候補者の性別は投票する上で重要な情報」と心配する声が広がっている。つまり、「公報などに性別を掲載しないことによって、行政側も有権者も、候補者の性別を把握できなくなる」という主張だ。

そもそも「公報」とは?
 まず前提として、今回、候補者の性別が載らなくなったという「公報」について確認しておきたい。公報と聞くと、「選挙公報」をイメージする人が多いかもしれないが、実は違う。選挙公報は、選挙期間中に各世帯に配られるもので、候補者の顔写真や経歴など、候補者が提出した原稿がそのまま掲載される。

 では公報とは何か。自治体が条例や規則などを知らせるために発行する機関紙のことを指す。例えば、東京都の公報「東京都公報」の発行部数は、都文書課によると665部。都庁内や都内の図書館、都のホームページなどで見ることができる。衆院選の小…

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