https://www.sankei.com/article/20211026-2E3ESTEUIRP6DD6FAQNFUMN2RM/
2021/10/26 20:38


東京都立墨田工業高(江東区)で平成28年、水泳の授業中の飛び込み練習で3年の男子生徒=当時(18)=が頸髄(けいずい)損傷などの重傷を負った事故で、危険な飛び込み方法を指導したとして業務上過失傷害罪に問われた高校教諭、松崎浩史被告(49)の論告求刑公判が26日、東京地裁(鏡味薫裁判官)で開かれた。検察側は「被害者は一生介助が必要な生活を強いられる。未来の夢を無残に打ち砕いた」などとして罰金100万円を求刑。弁護側も罰金刑を求め、結審した。判決は来月22日。

検察側は論告で、被告は当時、前方に差し出したデッキブラシを越えて飛び込むよう指導しており、被害者の直前に飛び込んだ生徒が危険性を指摘していたにもかかわらず続けたことから「過失の程度は重大」と主張。これに対し、弁護側は「生徒に安全な飛び込みの技術を身につけさせるためだった」などとして情状酌量を求めた。

この日の公判では、被害者参加制度を利用し、事故後に長期入院していた被害者の元男子生徒が車いすで出廷、意見陳述した。「自宅に戻るのに2年半かかった。入院と検査の日々が一生続くことが想像できますか」と訴え、被告が現在も別の学校で教諭を続けていることについて「被告人質問でも『覚えていない』と繰り返し、虚偽の発言もしている」として、教員免許を失効する禁錮刑以上の刑とするよう求めた。

最終意見陳述で被告は「人生を狂わせてしまったことを深くおわびします」と謝罪。「教師にこだわっているわけでは決してない。事故は故意ではなかったと認識していただければ」と釈明した。