https://hochi.news/articles/20211101-OHT1T51004.html
2021年11月1日 6時0分スポーツ報知

https://hochi.news/images/2021/11/01/20211101-OHT1I51005-L.jpg
石原伸晃氏



 東京8区では自民・石原伸晃元幹事長(64)が落選した。開票直後に「小選挙区敗退確実」となり、比例復活もできなかった。立民の新人・吉田晴美氏(49)に敗れ、中選挙区制だった1990年の初出馬以来初めて選挙区での黒星となった。地元に張り付き“ステルス遊説”を行う独自の戦いを展開したが、届かず。閣僚や党三役を歴任した現役派閥の領袖(りょうしゅう)が敗れるのは極めて異例。一方、維新は“地元”の大阪を中心に議席を伸ばし、大幅に躍進した。

 目の周りはくぼみ、マスクの上からもやつれているのが分かった。事務所に現れた石原氏は、入ってすぐに一礼。「申し訳ありませんでした」と集まった支援者に謝罪した。

 過去8回、東京8区で全勝。相手に比例復活を一度も許さない強さを見せてきた。だが今回は前回選挙で2万票以上離した相手に、それ以上の差をつけられ惨敗。開票開始直後の午後8時1分、吉田氏に当選確実が報じられた。「私の力量不足。皆さんが一丸となって頑張ってくれたのに、大将として申し訳ない」。何度も両手を合わせ、頭を下げた。

 苦しかった選挙戦。本来は派閥の領袖として全国の候補者らを応援する立場だ。しかし自らのピンチに、地元に張り付くことを余儀なくされた。

 相手のすったもんだも逆に自身を苦しめた。10月、れいわ新選組の山本太郎代表(46)が東京8区からの出馬を宣言。野党の混乱を招いたが、結局は吉田氏でまとまった。自民党内からは「山本だったら話題にはなるが、野党がまとまりきらない。まだ山本太郎が出てくれた方がよかった」との声も聞こえた。

 さらに苦しんだのはコロナ対応。今年1月に自身が新型コロナウイルスに感染。世間で病床不足が叫ばれる中、発熱などの症状がないのに入院し大ブーイングに。表立って説明しないまま選挙戦に突入。報道陣を避けるように遊説日程を公表せず、後日に演説動画をSNSにアップする“ステルス遊説”を展開した。

 スピーチでもコロナの話題はほぼ触れず。突然現れた駅前で「本当に危ないんです!」とSOSを連呼した。石原氏自身は「敗因はコロナで支援者に会えなかったこと」と多くを語らなかった。

 派閥の現役領袖が小選挙区で敗れるのは異例。派閥の前のトップ・山崎拓氏(84)が2003、09年の2度、同年に額賀福志郎氏(77)、町村信孝氏(享年70)が敗北したくらいだ。

 この日、石原氏は今後について語らず。同じように地にまみれた前任の山崎氏は03年の落選後も会長職にとどまり、05年に返り咲いた。報道陣から比例復活の可能性について聞かれても「小選挙区制ですから。負けだと思う」と言い切り事務所を後にした。