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毎日新聞 2021/11/3 19:32(最終更新 11/3 20:03) 814文字




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千葉県市原市の選挙管理委員会から届いた在外投票用紙=田上明日香さん提供

 解散から投票日までが戦後最短となった新型コロナウイルス下の衆院選で、在外投票が間に合わないケースが出た問題を受け、欧米在住の女性3人が、在外インターネット投票の早期実現を求めて署名活動を始める。1万筆を目標にして今週末にもオンライン署名サイトにページを開設する予定だ。

 発起人は、イタリア在住の田上明日香さん(38)▽ドイツ在住のショイマン由美子さん(55)▽米在住の子田稚子(こだわかこ)さん(44)。今回の衆院選では一部の自治体で投票用紙の発送が遅れたり、コロナの影響で郵送に時間がかかったりして在外邦人から制度の改善を訴える声が噴出。現行制度に限界を感じ、署名活動で国へ働きかけることにした。



 在外投票は、国際郵便や大使館などの在外公館に設けられた投票所ですることができる。しかし、郵便投票の場合は日本との間で1往復半の郵便のやりとりが必要になるなど時間がかかり、在外公館での投票では遠い地域に住む有権者にとっては交通費などの負担が重い。総務省によると、在外有権者は推定で100万人を超えるとされるが、名簿登録している人は約10万人にとどまり、2017年の前回選で在外投票した人は約2万人しかいなかった。

 投票率の低迷を受け、総務省の有識者会議は18年夏、在外邦人へのインターネット投票導入を提案。同省によると、既に19年度に東京都世田谷区など5自治体でネット投票の実証実験が行われているが、導入時期は「未定」という。



 3人は国に対し、来夏の参院選までに在外ネット投票の実証実験を行い、25年の参院選で完全導入することを求めていく。田上さんは「ネット投票の導入にあたっては『人目を避けた場所などで特定の候補への投票を強要される』との懸念があるが、海外在住者の場合、その可能性は限りなくゼロに近いのではないか。日本にいても海外にいても平等に選挙権を行使できるよう、早急なネット投票の導入が必要だ」と話している。【古川幸奈】