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毎日新聞 2021/11/4 17:59(最終更新 11/4 17:59) 455文字




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改編計画が発表された京都大霊長類研究所=愛知県犬山市で2021年10月15日午前、川瀬慎一朗撮影

 京都大が発表した同大霊長類研究所(愛知県犬山市)の改編計画を巡り、京大の湊長博学長宛てに再考を求める要望書を学術界が相次いで提出している。

 京大は研究資金の不正支出が問題化した霊長類研について、2022年4月に「ヒト行動進化研究センター(仮称)」に改編し、霊長類研が持つ10の研究分野を統廃合するなどと発表している。



 これに対し、日本霊長類学会(東京都)は10月27日付で「世界的な研究拠点の消失は我が国全体の科学研究にとっても取り返しのつかない、多大な損失であると憂慮する」とする要望書を提出した。改編案について「貴学がこれまで不断の努力で構築してきた唯一無二の研究が継続できなくなる可能性や、多様な学問分野が交流する学際的研究の中心的役割を継続できなくなる可能性もある」と指摘。改編案は「霊長類学はじめ関係分野における研究水準の低下につながると考える」と訴えている。

 日本人類学会(同)も同日付で有志233人が「貴重な学術基盤が失われないよう、重ねてお願い申し上げる」との要望書を提出した。【川瀬慎一朗】