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2021年11月04日22時26分

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公正取引委員会=東京都千代田区




 日本年金機構が発注する「ねんきん定期便」などの作成業務で入札談合を繰り返したとして、公正取引委員会が独禁法違反(不当な取引制限)で、印刷会社二十数社に課徴金計約14億円の納付と排除措置を命じる方針を固め、各社に通知したことが4日、関係者への取材で分かった。公取委は各社の意見聴取後に最終的な結論を出す。
 関係者によると、対象はトッパン・フォームズや共同印刷(いずれも東京都)、ナカバヤシ(大阪市)など。
 通知された課徴金額について、共同印刷は3億500万円、ナカバヤシは3億1071万円と明らかにした。
 各社は、機構が発注するねんきん定期便や年金振り込み通知書などのはがきや封書の印刷、発送準備業務の入札で、入札額や受注数量などを事前に調整していたとされる。
 公取委は2019年10月、印刷会社三十数社を立ち入り検査。談合は遅くとも立ち入りの数年前から行われていたとみられる。
 ねんきん定期便は、国民年金や厚生年金保険の加入者に保険料の納付実績や将来の給付見込み額を知らせるため、年1回、誕生月に発送される。保険料の納付記録漏れが発覚した旧社会保険庁の「消えた年金問題」を受け、09年4月に始まった。
 18年度の発送件数は約6300万件で、発注見込み額は約17億7000万円だった。
 トッパン・フォームズと共同印刷、ナカバヤシは、内容を精査して対応を検討するとした上で、「通知を受領した事実を厳粛に受け止め、法令順守の徹底に取り組む」とコメントした。