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2021年11月06日07時09分




 【ソウル時事】来年3月の韓国大統領選で保守系最大野党「国民の力」の公認候補に選ばれた尹錫悦氏は、今年3月まで検事総長だった「政治新人」だ。「人に忠誠を誓わない」と権力者の顔色をうかがわないスタイルで、保守の朴槿恵前政権の疑惑を徹底追及し、革新の文在寅政権とも対立。「反文在寅」の象徴として保守層の人気を集めてきた。
 9回目の挑戦で司法試験に合格し、出遅れて検事生活をスタート。世に広く知られるようになったのは朴前政権下で、大統領当選に絡む国家情報院の世論工作事件を担当してからだ。積極的な捜査が政権に疎まれ、左遷させられた。
 2016年に朴前大統領の親友が国政に介入した事件が明るみに出ると、特別検察官チームに招かれ復活。文政権からソウル中央地検のトップに抜てきされた尹氏は、「積弊清算」の名の下に保守政権下の不正を暴こうとする文政権を後ろ盾に、前政権関連事件の捜査・裁判を進めたほか、李明博元大統領も逮捕した。
 しかし、19年7月に検事総長に任命されると一転、文氏の最側近である※(恵の心が日)国法相(当時)と家族の疑惑を追及。文政権は、検察の権限を縮小する「検察改革」を進め、尹氏にさまざまな圧力をかけたが、屈しない姿勢に世論は喝采を送った。
 体格がよく声が大きい「ボス」的イメージ。「頼もしい」と感じる人がいる一方で、「権威主義的」という声もある。
 日本に詳しい複数の専門家がブレーンとして陣営に加わっており、尹氏は今年9月、未来志向を強調し、1998年に小渕恵三首相と金大中大統領(いずれも当時)が署名した日韓共同宣言を継承する考えを表明。経済学者の父、尹起重氏は一橋大で学び、同大客員教授を務めたこともある。