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毎日新聞 2021/11/9 19:00(最終更新 11/9 19:13) 1170文字




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正副議長に面会後、報道陣の取材に応じる木下富美子都議(左端)=東京都新宿区の都議会で2021年11月9日午後0時15分ごろ、伊藤直孝撮影

 7月の東京都議選期間中に無免許運転で人身事故を起こし、自動車運転処罰法違反容疑などで警視庁に書類送検された木下富美子都議(55)が9日、問題発覚以来初めて都議会を訪れ、約4カ月ぶりに公の場に姿を見せた。体調不良を理由に本会議や委員会を欠席していた木下氏は同日正午ごろ、都議会の正副議長と面会し、議員活動を続ける考えを示した。だが都議会は2度、全会一致で木下氏への議員辞職勧告を決議しており、都議らは反発。木下氏が出席予定だった委員会が開かれず、混乱が続いている。

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東京都議会の正副議長と面会する木下富美子都議=都議会議事堂の特別応接室で2021年11月9日午前11時58分、黒川晋史撮影

 木下氏は、辞職を求める三宅茂樹議長らに対し、議員を続ける考えを表明。面会後、報道陣の取材に「深く反省しております」と謝罪する一方、「2度の議員辞職勧告決議を大変重く受け止めているが、続けてほしいというお声があることも事実。失われた信頼を回復することは大変厳しい道のりだと覚悟しているが、これからの議員活動の中で答えを導き出させていただければ」として、辞職しない考えを強調した。



 議員報酬については、受給済みの約192万円は既にNPO法人などの団体に寄付したとし、月50万円の政務活動費は都に返納する考えを明らかにした。

 木下氏は報道陣に約10分間にわたって自らの考えを説明した。ただし、無免許運転をした理由を問われると「捜査、聴取を受けている。お話ができない」と明言を避けた。



 木下氏はその後、所属する公営企業委員会の理事会に出席したが、他の出席者によると、委員らは「都民や議会に説明がない」と反発して次々と退席。理事会が開催できず、9日夕の時点で委員会は始まっていない。委員の一人は「委員会で質問するということは、議員活動を認めることになる。我々は辞職を求めている立場。都民への説明がないまま委員会は開けない」と話した。

 木下氏は問題発覚後、所属していた地域政党「都民ファーストの会」から除名された。自身のホームページで謝罪文や議員活動を続ける意向を示していたものの、体調不良を理由に公の場に一切姿を見せず、正副議長から都議会に来るよう要請を受けても応じてこなかった。



 都の議会局には11月5日までに「今すぐ辞職すべきだ」「議員報酬が支払われるのはおかしい」といった批判が2000件以上寄せられている。一部会派や都民からは、地方自治法が定める「除名処分」を求める声も上がる。議会関係者によると、除名処分は議会内での問題行為を対象にしているため、適用が難しいという。有権者による解職請求(リコール)も、同法の規定で選挙から1年間はできない。

 木下氏には、12月1日時点で在職していれば、冬の期末手当約205万円も満額支給される予定だ。ある都議は「都議の務めを放棄し、説明責任も果たさぬまま今日まで来たことは絶対に許されない。即刻辞職すべきだ」と突き放す。【斎川瞳、黒川晋史】