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毎日新聞 2021/11/22 18:31(最終更新 11/22 18:32) 1068文字




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当時の野球部監督などの処分を発表し、謝罪する県教委の担当者=岡山市北区内山下の岡山県庁で2021年11月19日午後3時31分、松室花実撮影

 岡山県立岡山操山高校で2012年、野球部マネジャーだった2年の男子生徒(当時16歳)が自殺した問題を巡り、県教委が当時の野球部監督だった男性教諭(45)の処分を停職3カ月としたことに波紋が広がっている。県教委の鍵本芳明教育長は22日にあった県議会教育再生・子ども応援特別委員会で「免職に当たらないのはなぜか」という県議の質問に対し、「(暴行などの)直接的な有形力の行使にはあたらないと判断し、停職とした」と説明した。

 生徒は11年4月に入学し、野球部に入部。第三者委員会がまとめた報告書によると男性教諭は「殺すぞ」などの暴言を日常的に繰り返し、自殺した生徒にも激しい叱責をしていた。県教委は当初、自殺の原因を「不明」としたが、生徒の両親が第三者委の設置を繰り返し要望し、6年後の18年からようやく調査を開始。21年3月、自殺の原因は教諭の激しい叱責にあったとする報告書をまとめた。県教委は調査が遅れたことなどを「組織としての保身があった」と認め、当時の県教委職員ら4人も厳重注意などの処分とした。男性教諭は県教委の聞き取りに対し、「強いチームを作りたかった。過去に自分も選手だった経験から指導方法は間違っていないという認識だった」と話しているという。



 県教委は懲戒処分の指針として、@体罰により生徒を死亡させるか後遺症が残る傷害を負わせた場合は免職A傷害を負わせた場合は停職、減給または戒告B暴言、侮蔑的な言動を常習的に行うことにより著しい精神的苦痛を負わせた場合は減給または戒告−−と3段階を示している。

 この日、「第三者委による報告書では、教諭の言動が自殺の原因だったと示され県教委も認めているはず。言葉の暴力だと免職の対象にはならないのか」という県議の質問に対し、「免職の基準は本人に対する暴力など直接的な有形力の行使によって死亡や重大な傷害を負わせた場合で、今回は該当しない」と説明した。



 生徒の両親は毎日新聞の取材に対し「息子の命が粗末に扱われており、到底受け入れられない」と話している。【松室花実、戸田紗友莉】