https://mainichi.jp/articles/20211122/k00/00m/040/259000c

毎日新聞 2021/11/22 20:50(最終更新 11/22 21:40) 582文字




https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/04/04/20190404k0000m040292000p/9.jpg
佐賀県庁=佐賀市城内1で2019年2月26日、池田美欧撮影

 九州新幹線長崎ルートで佐賀県を走る未着工区間(新鳥栖―武雄温泉)の整備方式を巡り、国土交通省は22日、未着工区間を新幹線規格(フル規格)で結んだ場合の3ルート案について概算建設費などの試算を公表した。国が示す「アセスルート」が最も投資効果の高い「ベストな選択肢」とする結果に、フル規格に反対の県は結論ありきだと反発した。

 この日、県庁であった県と国の「幅広い協議」の場で示された。

 3案はJR佐賀駅を通るアセスルートと、県が比較対象として例示した「北回りルート」「南回りルート」。試算によると、概算建設費はアセスルートが6200億円で北回りルートが5700億〜6200億円。南回りルートは1兆1300億円。現在の在来特急と比べた収支改善効果はアセスが年86億円、北回りが同62億〜75億円、南回りがゼロで、総合的にアセスルートが最適と結論づけた。



 試算は2021年5月、県が国に求めたものだったが、フル規格整備に反対の県にとっては「国の計画ゴリ押しを避ける時間稼ぎ」(県関係者)の側面が強い。県は新幹線が走れば佐賀から福岡方面に安価で行ける在来特急が大幅減便されると懸念しており、山下宗人・県地域交流部長は「在来線の利便性低下に全く触れられていない」と不満をあらわにした。

 国交省の担当者は「県の懸念は承知しており、省内で協議したい」と述べた。【山口響、竹林静】