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毎日新聞 2021/11/22 21:13(最終更新 11/22 21:13) 842文字




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都議会議長に辞職願を手渡す木下富美子都議(左)=東京都庁で2021年11月22日午後7時49分、小川昌宏撮影

 無免許運転を繰り返したとして道路交通法違反で在宅起訴された木下富美子東京都議(55)は22日、都庁で記者会見し、議員辞職すると表明した。同日付で都議会議長宛てに辞表を提出し、許可された。木下氏はかつて所属していた地域政党・都民ファーストの会の特別顧問を務める小池百合子都知事に相談し、辞職を促されたと明らかにした上で「順法精神が弛緩(しかん)していたことは申し訳なく、猛省している」と陳謝した。

 木下氏は問題発覚後、体調不良を理由に本会議や所属委員会を欠席。9日に都議会を訪れ、約4カ月ぶりに公の場に姿を見せて報道陣に議員活動を続ける意欲を表明した。しかし、都議会は議員辞職勧告を全会一致で2度決議しており、他の都議らが反発して所属委員会が開かれないなど、混乱が生じていた。



 木下氏は「免許停止期間中の運転はあってはならない」と陳謝する一方、女性活躍といった政策実現のために議員活動の継続を目指したとした。「辞職勧告決議には法的拘束力がなく、(刑事事件は)推定無罪が保障されている。都議として仕事がしたいのに、仕事ができない理不尽な現実があった」と話し、都議会側の対応に強い不満をにじませた。同席した木下氏の弁護士も「学校や職場のいじめの構造と同じ」と議会側を批判した。

 小池知事とは会見前の午後2時ごろ、面会したことを明かした。小池知事からは「いったん引いて交通事故の解決に専念してはどうか。これで人生が終わるわけではない。再出発する時は相談に乗る」との助言を受けたとし、「支援者の方々と改めてお話しし、知事のご助言も踏まえて深く考え、職を辞する決断に至った」と述べた。



 会見を聞いた都議の一人は「『理不尽』という認識に絶句した。有権者に選ばれた我々の総意として出された辞職勧告決議の重みをわかっていない。理不尽なのは、都民への説明責任も果たさずに議会活動を続けようとした木下氏自身だ」と批判。別の都議も「都議会の対応への批判はお門違いだ」と憤った。【黒川晋史、竹内麻子、斎川瞳】