https://www.sankei.com/article/20211126-YEFHWJBDLVMDXP65DJVRVEVOXU/
2021/11/26 17:30


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演習を行う中国軍の兵士=2020年7月(新華社=共同)

防衛省のシンクタンク、防衛研究所は26日、中国の安全保障に関する動向を分析した年次報告書「中国安全保障レポート2022」を公表した。中国は習近平国家主席が主導した軍改革により、伝統的な陸海空の軍隊に加え、宇宙やサイバーなどの新たな領域を加えた「一体化統合作戦」が遂行できる軍体制を整えたと指摘した。ただ、残された課題も多く、今後の動向に注視が必要と訴えた。

報告書のテーマは「人民解放軍の統合作戦能力がどこまで深化したのか」。2012年に発足した習体制のもとで断行した建国以来最大規模の軍改革について、一体化統合作戦が実現可能な態勢を整えたと評価した。

習体制の軍改革では、全土を5つの「戦区」に再編し、陸海空各部隊の指揮権限を付与している。レポートでは、中央と各戦区にそれぞれ作戦指揮システムを導入し、台湾周辺や南シナ海での訓練を活発化させていると分析した。

一方、レポートでは指揮系統や人材育成制度など細部にわたり分析を加え、課題もあぶり出した。陸海空司令部と戦区の間の権限調整や、各戦区に配置された政治委員の指揮権限などが残されており、「その克服には時間がかかると目される」とした。

また、中国軍が各レベルで人材育成に力を入れているとも指摘した。各戦区の政治委員が作戦指揮や科学技術も学び、統合作戦の指揮を可能にすることで、共産党体制との両立を模索しているとした。