https://mainichi.jp/articles/20211126/k00/00m/040/366000c

毎日新聞 2021/11/26 20:47(最終更新 11/26 20:47) 624文字




https://cdn.mainichi.jp/vol1/2021/11/12/20211112k0000m040135000p/9.jpg
サイバー攻撃に遭った徳島県つるぎ町立半田病院=徳島県つるぎ町半田で2021年11月9日午後4時49分、国本ようこ撮影

 徳島県つるぎ町立半田病院がサイバー攻撃を受け、患者約8万5000人分の電子カルテが閲覧できなくなった問題で、同病院は26日、犯人側が要求する身代金の支払いには応じず、約2億円をかけて新たにシステムを構築すると発表した。現在は外来患者の新規受け入れをほぼ停止しているが、来年1月4日からの通常診療再開を目指す。

 同病院では10月31日、電子カルテなどを扱う院内システムが身代金を要求するコンピューターウイルス「ランサムウエア」に感染。カルテは暗号化され、会計システムもダウンした。英文で「身代金を払わなければデータを公表する」というメッセージがプリンターから印刷された。



 犯人側から新たな身代金の要求はなく、データ流出は確認されていないが、業者に依頼したデータ復元のめどは立っていない。兼西(かねにし)茂町長は「当初は身代金を支払うことも考えたが、100%元通りになる保証はない。自治体として犯罪集団に公金を支払うことはできないと判断した」と説明。病院は紙ベースでカルテ作成を当面続け、新たなシステムを1月から稼働させることを決めたという。

 侵入経路を巡って病院側は、業者が遠隔でシステムを点検するために使うVPN(仮想専用線)のIDとパスワードが流出していたと説明。VPNの機器は過去に脆弱(ぜいじゃく)性が指摘されていた旧型で、この回線から侵入された可能性が高いとし、インターネットへの常時接続をやめるなどの対策をとると表明した。【国本ようこ】