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毎日新聞 2021/11/27 03:00(最終更新 11/27 03:00) 700文字




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東京地検が入る庁舎=金寿英撮影

 東京都千代田区の東京地検特捜部の事務室で今年7月と8月、机などの物品が燃えた2件の火災で、火元となった二つの部屋を、同じ職員が利用していたことが関係者への取材で判明した。地検はいずれも「電気系統のショートが出火原因」として失火と説明していたが、燃えたものの中にはこの職員が作成した捜査書類が含まれていた。不審火の疑いがある。

 2件の火災は7月16日午後11時ごろと8月12日午後3時40分ごろに発生。7月の火災の火元は複数の事務官が共同で作業する地検10階の部屋で発生し、パソコンや電源タップなどが燃えた。スプリンクラーが作動し、計8フロアが浸水するなどの被害が出た。8月の火災の火元は地検9階にある検事の個室で、出火から10分ほどで消火したが、書類や封筒などが燃えた。いずれも消防が出動した。



 関係者によると、職員は事務官としてもともと10階の部屋で仕事をしていたが、7月の火災に前後して特捜部内で配置換えがあり、8月の火元となった検事の個室で立ち会い事務官として働くようになった。地検はいずれもパソコンのコンセントなどがつながれた電源付近から出火していたことから、電気系統のショートが原因としていた。検事の個室には職員が作成した捜査書類があり、燃えていた。職員は検察の内部調査に火災への関与を否定。この職員は10月に別の部署に異動している。

 地検は8月の火災後、「原因について消防の調査に協力しており、結果を踏まえて適切に対応する」などとした次席検事のコメントを出したが、その後の調査内容や職員の異動について説明していない。消防が出火原因を調べている。【志村一也、二村祐士朗、国本愛、松尾知典】