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2021年11月27日13時33分

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ジョンソン英首相(左)とフランスのマクロン大統領=1日、英グラスゴー(AFP時事)




 【ロンドン時事】英仏海峡で難民船が沈没し、少なくとも27人が死亡した事故を受け、英仏両政府が異例の非難合戦を展開している。ジョンソン英首相は25日付のフランスのマクロン大統領宛ての書簡を自らのツイッターで公開。その内容とやり方に仏側が反発し、難民問題をめぐる閣僚級の対話は幻となった。
 両国は英国の欧州連合(EU)離脱後の漁業権や貿易、オーストラリアとの潜水艦共同開発計画などでぎくしゃくしているが、難民問題が火に油を注いだ格好だ。
 「今年夏の手紙でも伝えたように、私はこれまでずっと、いつの日か大勢の命が失われる悲劇が起きると懸念してきた」。ジョンソン氏は書簡で外交的修辞を使いながらも、仏側の対応に不満をにじませた。その上で、海峡を渡ろうとする難民を止める責任を仏側に押し付け、パトロール強化などの解決策を「上から目線」で提案した。
 これに対し、マクロン氏は26日の記者会見で、ジョンソン氏のやり方を「真剣でない」と一刀両断。さらに「このような問題について、ツイッターで首脳同士が意思疎通を図ることはない。われわれは内部告発者ではない」と批判した。
 フランスは北部カレーで28日に開くドイツやオランダなどとの難民問題に関する閣僚級会合にパテル英内相を招待していたが、今回の一件で撤回した。ジョンソン氏は書簡の中で会合を首脳級に格上げすることも提案していたが、実現可能性はほぼなくなった。