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2021年11月28日07時11分

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ロシア軍部隊が西部スモレンスク州に集結しているとされる衛星写真=1日撮影、米マクサー・テクノロジーズ提供(AFP時事)




 【モスクワ時事】ウクライナ情勢をめぐる緊張が激化の一途をたどっている。米メディアは最近、ウクライナ国境で軍部隊を集結させているロシアが軍事侵攻する可能性を盛んに報道。ロシアは「全く誤った情報」と否定するが、米軍がウクライナに面する黒海で活動を活発化させていることにいら立ちを強めており、偶発的衝突の恐れも高まっている。


 米メディアは10月末以降、衛星写真を基にロシア軍部隊の集結情報を伝え始め、ウクライナ国防省も今月初め、ロシアが2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島やウクライナとの国境付近に「総勢9万人を集結させている」と発表していた。
 その後もニューヨーク・タイムズ紙が19日、ロシアがウクライナに侵攻する可能性について「米国が同盟国に警告している」と報道。「欧米の情報機関はロシア(のプーチン)大統領がより広大な領土を支配することを望んでいるとの確信を深めている」と伝えた。米軍事専門サイト「ミリタリー・タイムズ」も21日、「ロシアは来年1〜2月の攻撃を準備している」とするウクライナ軍情報部門トップの見方を報じた。
 ロシアはクリミア併合の結果、欧米から制裁を科され、経済は停滞する。仮にウクライナに軍事侵攻すれば、欧米との関係修復はほぼ不可能になる。シンクタンク「ロシア国際問題評議会」のイワン・ティモフェエフ研究員は25日の論考で「戦争のコストは利益をはるかに上回る。ロシアの経済、政治的安定、外交政策に大きなリスクをもたらす」と指摘し、侵攻のシナリオに懐疑的な見解を示した。
 ただ、ロシアは、米主導の北大西洋条約機構(NATO)がウクライナを支援するため、黒海やロシア国境に近い地域で活動を活発化させていることに強烈な不満を抱いている。プーチン氏は18日、「米欧のパートナーがウクライナに現代的な武器を供給し、黒海で挑発的な軍事行動を取って状況を悪化させていることを考慮しなければならない」と主張。ショイグ国防相も24日、ロシア国境近くでのNATOの活動を受け「核戦力の戦闘態勢維持」などが優先事項だと述べた。