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毎日新聞 2021/11/30 04:31(最終更新 11/30 04:46) 800文字




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新型コロナウイルスの感染拡大防止のため壁を消毒する男性=ジンバブエの首都ハラレで2021年11月29日、AP

 中国の習近平国家主席は29日、西アフリカのセネガルで開幕した「中国アフリカ協力フォーラム」の閣僚級会議にオンライン形式で出席し演説した。習氏はアフリカ諸国に対し新型コロナウイルスワクチンを新たに10億回分提供することを表明。新型コロナの変異株オミクロン株が出現し各国が対応に追われる中、中国のお家芸である「ワクチン外交」でアフリカ諸国に存在感を示した。

 習氏は開会式の演説で、新たに提供する10億回分のワクチンについて、6億回分を無償提供、4億回分を中国企業とアフリカの関係国で共同生産すると明らかにした。医療従事者と公衆衛生の専門家計1500人の派遣も表明するなど、アフリカ重視の姿勢を強調した。



 また今後3年間の協力方針として示した「九項工程(九つのプロジェクト)」には、衛星通信関連での協力や気候変動対策などを盛り込んだ。中国が得意とする分野を積極的に展開することで、アフリカ諸国への影響力をさらに拡大していく狙いだ。

 中国と、中国と国交のあるアフリカ53カ国によるフォーラムは、3年ごとに中国とアフリカで交互に開催されている。



 習氏は「フォーラムのほぼ全てのアフリカの国々が(中国主導の巨大経済圏構想)『一帯一路』に加わった」と、中国とアフリカ諸国の結びつきを強調。また「我々はそれぞれの国の実情にあった発展の道を提唱し、途上国の権利と利益を保護することを約束し内政干渉、人種差別、一方的な制裁に反対する」と述べた。

 対中国で同盟国・友好国と連携を強める米国を念頭に置いた発言とみられる。

 フォーラムに先立ち、中国政府は26日、対アフリカ協力に関する白書を発表。2020年以降、アフリカ53カ国とアフリカ連合に対し、防護服やマスク、検査薬など120回にわたって医療物資を提供し、ワクチンもアフリカ50カ国を含む110を超える国と国際機関に17億回分以上提供したと強調した。【北京・岡崎英遠】