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2021年12月01日17時06分

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最高裁判所=東京都千代田区




 戸籍上の性別変更をめぐり、未成年の子がいないことを要件とする性同一性障害特例法の規定が憲法に反するかが争われた家事審判の特別抗告審で、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は1日までに、「規定は合憲」として申し立てを棄却する決定をした。11月30日付。


 裁判官5人中4人の多数意見。宇賀克也裁判官は「要件は憲法で保障された自己同一性を保持する権利を制約する根拠として合理性を有するとは言い難い」として違憲とする反対意見を付けた。
 申立人は、女性への性別適合手術を受けており、戸籍上も性別変更を求めた。元妻との間に未成年の子がいるため、「(特例法の)要件は個人の尊重などを定める憲法に反する」と主張していた。
 神戸家裁尼崎支部は2020年2月、要件は性別変更が家族秩序に混乱を生じさせたり、未成熟な子の福祉に影響を及ぼしたりする可能性に配慮し規定されたと指摘。「立法府の合理的裁量の範囲内だ」として合憲とし、申し立てを却下した。
 大阪高裁も同年6月、即時抗告を棄却し、申立人が特別抗告していた。
 戸籍上の性別変更は04年の特例法施行で可能となり、▽20歳以上▽結婚していない▽性別適合手術を受けている―などの要件がある。家裁が審理し、昨年末までに1万301件が認められた。
 未成年の子がいないとする要件は、以前は「子がいないこと」とされていたが、08年に緩和された。