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毎日新聞 2021/12/4 10:06(最終更新 12/4 10:06) 727文字




 爪水虫などの皮膚治療薬への睡眠導入剤成分の混入などの問題で操業停止処分を受けていた製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)は3日、後発医薬品大手のサワイグループホールディングスに製造工場などの資産を譲渡すると発表した。記者会見した小林化工の田中宏明社長は「患者や医療従事者をはじめ、皆様にご迷惑をおかけしたことを改めておわびする」と陳謝し、被害者への対応については最後まで自社で行う意向を示した。

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記者会見で資産譲渡の経緯や今後の対応などを説明する小林化工の田中宏明社長=福井県あわら市の小林化工で2021年12月3日午後5時2分、大原翔撮影

 同社は昨年12月、混入問題を発表し、製品の自主回収を行った。その後の調査で、混入以外にも製造販売承認を受ける過程で試験の実施日を改ざんするなどの法令違反が見つかるなどずさんな管理態勢が判明。県から116日間の業務停止命令と業務改善命令を受けていた。



 この日の会見で、田中社長は「サワイ側から社員の過半を引き受けるとの提案があった。品質の確かな医薬品の供給と雇用を維持できると考えた」と譲渡理由などを説明。約600人いる従業員のうち、移籍対象は生産部門などの約500人という。その他の従業員についても「再就職支援を丁寧に行いたい」などと語った。

 また、被害者への対応については「過半数を終えている」と述べた上で、「合意に至っていない人や後遺症がある人については対応が終わるまで会社を存続させる」と語った。



 一方、小林化工の発表を受けて、杉本達治知事は報道各社の取材に対し「小林化工には第一に従業員の移籍先を探す努力をお願いしたい。良い形で再出発してもらえるように希望している」と語った。また、本社や製造工場があるあわら市の佐々木康男市長は「事業が再開され、地元の雇用が守られることについては安堵(あんど)している」とのコメントを発表した。【大原翔、横見知佳】