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2021年12月10日07時38分

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北京冬季五輪のロゴマーク=1日、中国・北京(AFP時事)




 来年2月開幕の北京冬季五輪をめぐり、自民党内で外交ボイコットに追随すべきだとの声が広がり始めている。米国やオーストラリアに続いて、英国、カナダも閣僚や外交使節団を送らないと表明。岸田文雄首相は当面、各国の対応などを見極める考えだが、人権問題などを抱える中国への厳しい対応を求める声は日増しに高まっている。


 「(新疆)ウイグル(自治区)で起きている人権状況について、政治的な姿勢とメッセージを出すことが求められている」。自民党の安倍晋三元首相は9日、安倍派会合でこう訴えた。「日本の意思を示す時は近づいているのではないか」とも述べ、政府に早期の判断を促した。
 自民党では保守派を中心に外交ボイコット論が強まっている。青山繁晴参院議員らの議員連盟が政府に申し入れを行ったほか、高市早苗政調会長も8日の会合で外交ボイコットに踏み切るべきだと主張した。
 野党側にも、こうした認識が共有されつつある。立憲民主党の小川淳也政調会長は9日の記者会見で、「場合によっては厳しい対応が求められる」と指摘。国民民主党内からも「外交的ボイコットを検討すべきだ」(玉木雄一郎代表)との意見が出ている。
 そうした中、政府は性急な判断には慎重な立場。首相は9日、衆院本会議の各党代表質問で、「適切な時期に外交上の観点、諸般の事情を総合的に勘案し、国益に照らして自ら判断したい」と述べるにとどめた。
 ただ、米国などが人権問題を理由に外交ボイコットで足並みをそろえ、日本政府関係者は「同調圧力が強まりかねない」と神経をとがらせる。外務省幹部は「遅くなりすぎるのはよくない。判断が最後になるのはどうか」と指摘した。
 林芳正外相は英中部リバプールで10日から開催される先進7カ国(G7)外相会合への出席を検討。北京五輪への対応が話題になる可能性がある。政府は、2024年パリ夏季五輪を控えるフランスや、ショルツ政権が発足したドイツの動向などを探りつつ、日本の対応を決める構えだ。