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2021年12月15日 14時43分 公開
[松浦立樹,ITmedia]

 米航空宇宙局(NASA)は12月14日(現地時間)、NASAの宇宙探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が太陽の上層大気であるコロナに到達したと発表した。NASAは「歴史上初めて、宇宙船が太陽に触れた」としている。コロナで粒子や磁場のサンプリングを行っているという。

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宇宙探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」と太陽の距離についての説明(NASAの公式Webサイトから引用)

 パーカー・ソーラー・プローブは、太陽に接近し、その謎を探ることを目的として2018年に打ち上げられた宇宙探査機。約1400度の熱まで耐えられる。

 太陽の主成分は水素やヘリウムなどのガス。超高温の大気であるコロナをまとっており、これは太陽から遠のくうちに「太陽風」と呼ばれるガスの流れに変化する。この太陽風とコロナの境界面は「アルヴェーン臨海面」と呼ばれているが、具体的にどこにあるのかがこれまで分かっておらず、太陽の見掛けの表面から測って約700万kmから約1400万kmの間にあると考えられていた。

 パーカー・ソーラー・プローブがコロナに到達したのは4月28日。8回目の太陽周回中に、太陽表面から約1300万km地点で、初めてアルヴェーン臨海面に遭遇したという。その後も、何度もコロナに出入りし、アルヴェーン臨海面の表面は、滑らかな球状ではなく、トゲや谷などのでこぼこな構造を持つことが分かったという。

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パーカー・ソーラー・プローブがコロナ内で撮影した「コロナ流線」と呼ばれる構造物(NASAの公式Webサイトから引用)

 太陽風は、地球上の衛星などにも影響を与える場合があるため「今回の成果はとても重要なもの」(NASA)としている。パーカー・ソーラー・プローブは、2022年1月にも再びコロナを通過する予定で、引き続き調査を進める。