https://www.sankei.com/article/20211218-675LAFY75NMUHFNURYVHZI7J4U/
2021/12/18 05:00



新型コロナウイルスの新たな変異「オミクロン株」が、世界を席巻している。日本でも、米国から帰国し、自宅待機中だった女性の感染が分かりその濃厚接触者の感染も明らかになった。

このほか、渡航歴のない関西空港検疫所の職員の感染が分かった。

何よりも重要なのは水際対策を徹底し、できる限り時間を稼ぐとともに、ワクチンの追加接種を急ぐことである。

オミクロン株の特徴は感染力が強いことだ。帰国者の自宅待機で流入を防げないことは、今回の感染例からも明らかだ。世界的に感染が広がる中では水際対策を臨機応変に見直し、強化もしなければいけない。業務に当たる職員の感染防止策も見直すべきだ。

免疫を回避する特徴も分かってきた。ワクチンの感染予防効果が低下することは避けられまい。だが、重症化を防ぐ効果は一定程度残り、追加接種で高まるとする専門家が多い。

厚生労働省は3回目のワクチンとして、ファイザー製に加えてモデルナ製の活用を決めた。いずれもメッセンジャーRNAのワクチンである。1回目、2回目と異なるワクチンを使う「交差接種」も認めた。柔軟に進めたい。

政府がすべき最優先課題は、ワクチンの調達と供給だ。前回のように途中でワクチンが不足する事態を招いてはいけない。

岸田文雄首相は17日、ファイザー社のブーラ最高経営責任者と電話会談を行い、供給の前倒しを求めた。その後、会見で「予防、検査、早期治療の3本柱による包括強化策を講じる」とした。

ワクチンの追加接種は2回目と原則8カ月以上空けるとしていたが、医療従事者や高齢の施設入所者らでは6カ月、一般の高齢者では7カ月に前倒しする。さらに岸田首相はファイザー社製の新型コロナの飲み薬を200万回分確保することで基本合意した。米製薬大手メルク社製の飲み薬160万回分も確保しており、医療現場への年内提供を目指す。

がんや免疫不全などの患者にも早期接種できるよう、ワクチンの確保に努めてほしい。重症化リスクのある人の接種を急ぐことは病床逼迫(ひっぱく)を防ぐことにもなる。

感染症対策に万全はない。マスクの着用、手指消毒、3密の回避など地道な取り組みを徹底すべきなのは当然だ。