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毎日新聞 2021/12/19 13:00(最終更新 12/19 13:00) 有料記事 1979文字




 鉄道のダイヤが秒単位で組まれているのはご存じだろうか。一般に公表される時刻表は分単位で記されているが、実はもっと細かい。その作成作業は、今も手仕事だ。定規とペンで緻密な世界を描き出す職人たちを訪ねた。【高橋昌紀】

図面に描かれる無数の「スジ」
 1枚の紙(縦約50センチ、横約240センチ)に、複雑に交差する斜線がびっしりと引かれている。線の数は2000本ほど。この一本一本が列車の動きを表す。縦軸に駅名、横軸に時刻が記される。JR東海道線・山陽線の一部区間(米原―上郡間)における1日分のダイヤだ。

 「ダイヤは5秒単位で作成しています。大阪駅や京都駅を含んでおり、国内屈指の複雑さです」。JR西日本の近畿統括本部輸送課に勤める木村一生(かずみ)さん(43)はこう話す。例えば時刻表で出発時刻が「9時5分」と記されていても、実際には「9時5分15秒」と5秒単位のダイヤに沿って列車は動いている。多数の列車が同時に走る路線では、秒刻みで動かさないと流れが滞るためだ。その運行計画を作るのが、社内で「スジ屋」と呼ばれる木村さんたち。ダイヤに引く斜線を鉄道用語で「スジ」ということから、その名がついた。木村さんの部署には21人が所属し、京阪神地区を担当している。

たかが5秒、されど5秒
 ダイヤ作成の流れはこうだ。…

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