https://www.j-cast.com/tv/2021/12/20427424.html
2021年12月20日11時05分



24人が死亡した大阪市北区の雑居ビル火災で、放火した男は火をつけた後で炎の中に飛び込んだことが、現場の防犯カメラの解析で明らかになった。小さなビルでの火災への対応策をどうすればいいか。20日(2021年12月)の「モーニングショー」が特集した。

大阪府警などの調べでは、放火したとみられる住所不定・職業不詳、谷本盛男容疑者(61)=重篤な状態で治療中=は、雑居ビル4階のクリニックの入り口近くで、ガソリンのような可燃性の高い液体を入れた2つの紙袋を蹴り倒し、ライターで火をつけたとみられる。防犯カメラには、火をつけた後で燃え上がる炎の中に飛び込む姿が映っていた、と読売新聞は伝えた。

谷本容疑者が10年前に見せた「異変」

犠牲者は、クリニック院長の西澤弘太郎さん(49)ら14人の身元がわかった。通院患者は、「先生のおかげで頑張って元気でいられたし、患者目線にたってくれたいい先生でした」と泣き崩れた。死因の多くはCO(一酸化炭素)中毒だ。受付近くで、1gのガソリンが燃えたと仮定すると、COはわずか7秒でクリニック内のすべてのスペースに広がった、とされる。30分で火は消し止められ、燃えたのは床面積の3分の1にあたる25uだった。

10年ほど前まで、谷本容疑者が勤めていた板金工場の社長はこう語る。「(アルバイトから正社員に昇格した?)そうそう。2か月くらいで(正社員になった)。10年近くいたんじゃないか。性格のまじめな、責任感ある男でした。優秀ですわ。あれだけの職人はなかなかいない。(同僚とのトラブルは)ない。というより、自分は先輩だから、後輩に教えてやってしかってやることはあった」。

異変があったのは、約10年前。「奥さんと離婚せなあかんと。離婚の時期は、ちょっと悩んでいた。(相談できる人は?)いなかったんじゃないか。(奥さんへの未練は?)最初は、再婚の話をしたらしいですわ」。妻と2人の息子があったが、復縁できず、その後、職場には来なくなった。ふだんはおとなしかったが、「私が注意すると、カチンと来て、顔を真っ赤にして食ってかかってきたけれど。」

防災システム研究所の山村武彦所長は、「現場に行ったが、4階以外には大きな損傷は見られない。火災の時間が短く焼失面積が小さかったのにもかかわらず、これほど多くの犠牲者が出た異常な火災だ。今のところ、経営者には防火上の落ち度はなかった、と言える」と語った。

その上で「スプリンクラー設備は、場合によっては億の単位の費用がかかる。こうした避難経路が一カ所しかないようなビルで、いまぜひやってほしい、法律も変えてほしいと思うのは、簡易型のスプリンクラー消火設備だ」と指摘した。

(栄)

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テレビ朝日「モーニングショー」番組サイトより