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毎日新聞 2021/12/22 21:14(最終更新 12/22 21:14) 有料記事 2348文字




 政府は22日、医療の公定価格である診療報酬の2022年度改定について、医師の技術料にあたる「本体部分」を0・43%引き上げ、薬と医療材料の公定価格「薬価」を1・37%引き下げることを決めた。全体の改定率は差し引きでマイナス0・94%。後藤茂之厚生労働相と鈴木俊一財務相が同日折衝し、合意した。「主役不在」がささやかれる中、ギリギリで決着に持ち込んだ舞台裏では、複数の「裏」のキーマンの存在が浮かんだ。【神足俊輔、矢澤秀範、阿部亮介】

 診療報酬は2年に1度改定され、22年4月から反映される。薬価を市場の実勢価格に合わせて引き下げ、その財源で本体を引き上げるのが最近の通例で、今回も同じ構図だ。本体のプラス改定は08年度から8回連続となる。

 本体のプラス0・43%(国費約300億円)は、前回改定の0・55%から上げ幅が0・12ポイント縮まった。このうち、来春から公的保険の適用範囲が拡大される不妊治療と、岸田文雄首相が掲げる看護師の処遇改善にそれぞれ0・2%を財源に充てる。新型コロナウイルス感染防止のため小児科外来の特例で加算されていた報酬の廃止と、一定期間内に繰り返し利用できる「リフィル処方箋」の導入でそれぞれ0・1%を削減。実質的な引き上げは0・23%になる。

 診療報酬を引き上げれば、医療機関の売り上げは増え、人件費や設備投資に回せる一方、患者の負担が増す。全体の水準を上げ続けると医療費が増える要因ともなる。診療報酬の改定時には、財政健全化を目指す財務省は「引き下げ」を主張するのに対し、医療提供体制の充実を図る厚労省は「引き上げ」を求めるのが通例で、利害関係者により政治決着することが多い。

 今回の改定も「財務省」対「厚労省」という構図は変わらない。財務省が「本体のマイナス改定を続けることなくして医療費の適正化は図れない」と主張すれば、…

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