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毎日新聞 2021/12/24 11:36(最終更新 12/24 12:12) 818文字




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北京冬季五輪に政府高官の派遣を見送る方針を記者会見で表明する松野博一官房長官=首相官邸で2021年12月24日午前11時36分、竹内幹撮影

 政府は24日、来年2月から開催される北京冬季五輪・パラリンピックに閣僚ら政府高官を派遣しない方針を決めた。松野博一官房長官は記者会見で、東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長ら3人がそれぞれ出席すると発表した。

 中国による新疆ウイグル自治区や香港などでの人権問題を理由に米英豪各国などが「外交的ボイコット」を表明するなか、日本政府も人権重視の姿勢を明確にすべきだと判断した。出席するのは橋本、山下両氏のほか、日本パラリンピック委員会の森和之会長。選手団は予定通り大会に参加する。松野氏は北京五輪について「五輪およびパラリンピックの趣旨、精神にのっとり平和の祭典として開催されることを期待している」と述べたが、「外交的ボイコット」との文言を使うことは避けた。



 中国は今年の東京五輪に閣僚級の国家体育総局局長で中国オリンピック委員会会長の苟仲文氏を派遣した。政府はこれを受け、当初は室伏広治スポーツ庁長官の派遣を検討したが、自民党内で「政府関係者を派遣すべきではない」との反発が広がり見送った。ただ、来年が日中国交正常化50周年の節目を迎えることも踏まえ、山下氏らの派遣で中国との関係は維持する考えだ。

 北京五輪を巡っては、バイデン米政権が6日、外交的ボイコットを表明し、英国や豪州、カナダなどが同調した。一方、ロシアのプーチン大統領は開会式に合わせて訪中する意向を示し、2024年夏季五輪を控えるフランスはボイコットしない方針を明らかにした。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領も「外交的ボイコットは検討していない」と表明するなど各国の対応が分かれている。



 岸田文雄首相は21日の記者会見で北京五輪への対応について「適切な時期に五輪、パラリンピックの趣旨や精神、我が国の外交の観点などさまざまな点を勘案して国益に照らして判断する」などとして態度を明らかにしてこなかった。【川口峻】