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2021年12月26日07時10分

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雪印パーラー札幌本店で、来店客に牛乳を無料で配布する店員=23日、札幌市(雪印メグミルク提供)




 年末年始に行き場を失う生乳が大量廃棄となる恐れが出ていることを受け、乳業大手やコンビニエンスストアが消費拡大の応援へ知恵を絞っている。乳牛は、病気を防ぐため毎日搾乳することが必要で、生産量の調整が難しい。酪農家の経営が揺らげば、需要が増えたときに乳製品を十分に生産できない事態に陥りかねない。各社は牛乳などを使うレシピの提案や商品配布を通じ、「おいしい乳製品を味わって」とアピールしている。
 生乳の生産量は牛の生育に左右される。今年は夏が涼しく、生産が増えた。一方、消費は新型コロナウイルス感染拡大による外食の減少で飲食業界向けが停滞。学校の冬休み期間中は、給食向けの供給が止まるため、年末年始はピンチとなる。金子原二郎農林水産相は「何も対策を講じなければ、年末に5000トンの生乳が廃棄される可能性がある」と懸念を示す。
 この危機を乗り越えようと、各社は比較的保存が利くバターやチーズの生産拡大に加え、消費拡大に奔走している。雪印メグミルクは、北海道内で営業する喫茶店「雪印パーラー札幌本店」などを訪れた人へ乳製品摂取を推奨するチラシとともに、牛乳を無料で配布。森永乳業は練乳を入れたホットミルクなどのレシピをホームページで紹介している。
 明治は「牛乳を使うと減塩につながり、コクも出せる」と、煮物など和食への活用を提案。国産生乳100%のチーズを期間限定発売した。
 イトーヨーカ堂(東京)は全国の店舗で25日から来年1月3日まで、牛乳と混ぜると果肉入りデザートができるハウス食品の「フルーチェ」を対象の牛乳と一緒に買うと、30円割引する。
 ローソンは31日と元日の2日間、全国の店舗でホットミルクを半額の1杯65円で販売。「牛乳を無駄にすることなく、多くのお客さまに楽しんでほしい」(広報)と呼び掛けている。