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2021年12月26日 07時20分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 米航空宇宙局(NASA)は12月25日(現地時間)、巨大な宇宙望遠鏡「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope、以下「JWST」)」の打ち上げに成功したと発表した。南米フランス領ギアナの宇宙港からの打ち上げをライブ中継したNASAは「熱帯雨林から時間の始まりまで、ジェームズ・ウェッブは宇宙の誕生に戻る航海を始める」と語った。

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ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げ(Credits: NASA/Bill Ingalls)

 JWSTは約1カ月かけて地球から100万マイル(約161Km)の目標地点に移動する。望遠鏡は折りたたんだ状態で打ち上げられており、段階的に展開していく。

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折りたたんだ状態のJWST(Credits: NASA/Chris Gunn)

 JWSTは、幅約6.5mのミラーを使い、136億光年先の銀河から赤外線を集めることができるという(宇宙誕生のビッグバンは138億年前に起こったとされている)。ちなみにNASAが1990年に打ち上げたハッブル宇宙望遠鏡のミラーの幅は約2.4mだ。

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JWSTの“最終形態”のレンダリング(Credits: NASA)

 上のレンダリング画像でミラーの下に広がっているのは日除けだ。これにより、望遠鏡を摂氏マイナス223度に保てる。

 展開が成功すれば、燃料がなくなるまで(5〜10年)観測を続けることになる。NASAはJWSTのステータスをライブ追跡するWebサイトを公開している。

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JWSTトラッキングページ(NASAの公式サイトのスクリーンショット)

 約1カ月後に目標地点に到着後、機器をテストする。約6カ月後に最初の画像が送られてくるとNASAは予想している。

 JWSTは、1996年に正式に提案されたもの。1961年から8年間NASA長官を務めたジェイムズ・エドウィン・ウェッブ氏にちなんでこの名称になった。コスト上昇で打ち切りの危機にさらされたり、事故が発生したりなどで打ち上げが遅れていた。