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毎日新聞 2021/12/27 20:09(最終更新 12/27 20:09) 987文字




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インタビューに答える東京都の小池百合子知事=東京都新宿区で2021年12月27日、藤井太郎撮影

 東京都の小池百合子知事が過労による静養から本格的に公務に復帰して1カ月たった。静養中は健康不安説もあったが、現在は市中感染が確認された新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」対応などで先頭に立つ。一方で国民民主党の玉木雄一郎代表と面会するなど政治活動にも意欲的で、政界関係者からは来夏の参院選での動きを警戒する声も出ている。

 「東京都にとって忘れ得ぬ1年になった。コロナ対策に奔走し、また未知のオミクロン株がやってきている。まだ闘いは続く」。小池氏は27日、毎日新聞のインタビューに応じ、1年をそう振り返った。来夏の参院選については「私は都政にまい進しております」と述べ、どのような立場で臨むかは明言しなかった。



 小池氏は6月と10月に、「過度の疲労」を理由に一時入院した。平日はほぼ出勤し、土日も都幹部との打ち合わせに訪れることが多く、都関係者は「歴代知事の中でも登庁が多い」と言う。今年は五輪や新型コロナ対応に追われ、会見で疲れた様子も見られた。11月の退院後には3週間にわたり自宅で静養し、健康不安説が一部で報じられた。

 本格復帰後は一転、精力的に動いた。復帰翌日の11月22日、小池氏が特別顧問の地域政党・都民ファーストの会にかつて所属し、無免許運転発覚後に辞職勧告決議に応じていなかった木下富美子都議(当時)と面会。直後に木下氏は辞職を表明し、存在感を示した。電気自動車、無電柱化など肝いり政策のイベントに積極的に顔を出し、ある都幹部は「厳しい指示もあり、静養前よりパワーアップした印象だ」と語る。



 都政に詳しい元副知事の青山〓(やすし)明治大名誉教授(公共政策)は今後の都政運営について「東京は巨大都市で、隅々まで知事が見ることは不可能。五輪後のまちづくりなど、知事は骨太の基本方針を示し、自分で取り組むものは絞り込むべきではないか」と指摘する。

 政治活動も活発化させている。国民民主党と都民フの勉強会が17日に開催されたが、関係者によると、勉強会は自ら国民民主側と調整して実現させたという。26日投開票の東久留米市長選でも都民フの都議だった新人を国民民主とともに支援した。



 こうした動きに、自民都議からは「国民民主との連携は意図がよく見えない。とはいえ小池氏は知名度が抜群。参院選を見据えて何をするか分からない」と警戒する声も出ている。【伊藤直孝、斎川瞳】