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毎日新聞 2021/12/28 17:05(最終更新 12/28 17:24) 704文字




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子ども食堂やフードバンクに無償提供された牛乳=JA全農提供

 牛乳などの原料となる生乳の需要が低迷し、年末年始に大量廃棄される懸念が強まっていることを受け、子ども食堂などに牛乳を無償提供する動きが広がっている。

 JA全農は生産者団体「関東生乳販売農業協同組合連合会」と連携し、賞味期限が長く常温保存できる牛乳など計23万本(43万トン)を、来年1月7日から1都8県の子ども食堂と、余った食品を福祉団体などに配る「フードバンク」約150カ所に無償提供する。新型コロナウイルス禍での需要低迷で過去に2回実施したが、今回が最大規模。提供先からは「子どもの成長に役立つ。支援に感謝します」といった声が寄せられているという。よつ葉乳業(札幌市)も年末年始、北海道と東京のフードバンク11団体に牛乳や乳製品(計20トン)を寄付する。



 こうした動きの背景にあるのが生乳のだぶつきだ。新型コロナ禍で業務用の需要低迷が続いているうえ、学校給食がない年末年始は牛乳消費が少ない。バターや脱脂粉乳などに加工する工場の余力にも限りがあり、業界団体Jミルクは10月、全国の工場をフル稼働しても12月下旬に約5000トンが廃棄される恐れがあると試算した。

 子ども食堂や老人介護施設など約90施設に牛乳約1・9万本(約3・8トン)を無償提供する、とやまアルペン乳業(富山市)の樋口俊幸社長は「バターや脱脂粉乳の在庫がたまっていて、加工工場も生乳を引き受けてくれない。少しでも役に立ちたい」と話している。



 年末年始に牛乳消費を促すキャンペーンを展開する企業もある。金子原二郎農相は28日の閣議後記者会見で「消費拡大の機運が高まっている。引き続き緊張感を緩めることなく対応したい」と述べた。【浅川大樹】