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[ 2021年12月29日 05:30 ]

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相川鶴子金銀山遺跡の「道遊の割戸(どうゆうのわりと)」の採掘跡=新潟県佐渡市
Photo By 共同

 文化審議会は28日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に推薦する候補として「佐渡島の金山」(新潟)を選んだ。ただ文化庁は「候補の選定は推薦の決定ではない」と説明。ユネスコに推薦書を提出するかどうかは今後、政府内で総合的に検討する。かつて朝鮮半島出身者が過酷な労働に従事したとの反発が韓国にあり、日韓関係への懸念があるとみられる。2023年の登録に向けた推薦期限となる来年2月1日までに対応を決める。

 佐渡金山は「相川鶴子金銀山」と「西三川砂金山」の二つの鉱山遺跡で構成する。17世紀には世界最大級の金の産出量を誇り、金の採取から精錬までを手作業で行っていた時代の遺跡が残っているのは世界的に例がないとされる。

 地元自治体は江戸時代の遺構の価値を強調している。ただ、かつて朝鮮半島出身者が働いていたとの記録が残っており、韓国内では戦前や戦中を問題視して推薦を警戒する声が出ていた。韓国外務省報道官は28日、「非常に嘆かわしい」と候補選定の撤回を求める論評を出した。

 過去には自然遺産候補などと競合して文化審が選定した候補の推薦を見送った例があるが、競合候補がないのに推薦されなければ異例となる。

 各国が候補を記したユネスコの暫定リストには国内5件が記載されている。本年度の推薦を求めていたのは佐渡金山だけで、文化審も次に推薦する候補になり得ると評価していた。

 昨年度も有力とみられていたが、新型コロナウイルスの感染拡大で登録審査を行うユネスコ世界遺産委員会の開催見通しが立たないとして、文化庁は候補選定自体を見送った。