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2021年12月29日07時27分




 公明党衆院議員だった遠山清彦元財務副大臣らが貸金業法違反罪で在宅起訴された。日頃から「クリーン」を標ぼうし、「政治とカネ」の問題に厳しい姿勢を見せてきた同党のイメージは失墜。早期の信頼回復は見通せず、党内には来年夏の参院選への影響を懸念する声も漏れる。
 党幹部も務めた遠山元議員は1月に緊急事態宣言下の夜の東京・銀座の高級クラブ訪問が発覚し、2月に議員辞職した。その後、夏に今回の事件が表面化。党は捜査の行方に気をもんでいた。
 石井啓一幹事長は28日、コメントを発表。「政治の信頼を揺るがしかねない問題を招いてしまった責任を深刻に受け止めている。心から深くおわびを申し上げる」と陳謝したが、記者会見は一切行わなかった。自民党などの不祥事に際し、会見で説明責任を訴えてきたのとは対照的だ。
 幹部の一人は「(在宅起訴が)年内でよかった」と口にした。年が明ければ事件は風化していくとの見立てだ。だが、党内はそんな楽観論だけではない。ある関係者は「支持者からは、これでは選挙は戦えない、幹部は責任を取らないのかといった声が出ている」と明かす。
 公明党は参院選で、選挙区・比例代表各7人の当選と比例800万票の獲得を目標に掲げる。先の衆院選では野党の「戦略ミス」もあり、公明党は議席を増やしたが、クリーンイメージを取り戻せなければ参院選で支持拡大はおぼつかない。別の関係者は「これから裁判などでニュースになる機会も増える。影響はなくならない」と不安を隠さない。
 立憲民主党の西村智奈美幹事長は28日の記者会見で「全容解明は必要だ」と強調した。ただ、通常国会で論戦のテーマとして取り上げるかは、世論の風向きを見極めつつ慎重に判断する。立民幹部は「遠山元議員はもう辞めている。組織的にやっていたなら別だが個人でやったことだ」と語り、政策論争に軸足を置く考えを示した。