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毎日新聞 2022/1/4 14:27(最終更新 1/4 14:27) 608文字




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鉄道ジオラマの中で遊ぶ猫たち=大阪市天王寺区で2021年12月7日、菱田諭士撮影

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 のどかな田園風景を横切るローカル線。そこへふいに巨大な猫が姿を現すと、疾走する列車にネコパンチをお見舞いする――。

 怪獣映画さながらの光景が「インスタ映えする」と人気を集めているのが「ジオラマ食堂」(大阪市天王寺区寺田町2)。約65平方メートルの店内を埋める鉄道模型のジオラマが自慢の食堂だ。ただし、店内では14匹の猫たちが暮らす。線路に座り込み、鉄橋に顔を乗せてひと休み。山の間でぐっすり眠っていたかと思うと、のっそりと起き上がってホームの屋根をたたき飛ばす。我が物顔にくつろぐ姿に、来店客の笑い声とシャッター音が絶えない。





 オーナーの寺岡直樹さん(57)は鉄道模型好きが高じて、2005年からジオラマを設置した飲食店を展開。「ジオラマ食堂」は18年にオープンしたが、コロナ禍で客足が遠のき、閉店も考えた。そんな時、たまたま店先で衰弱していた子猫を保護。店内で飼い始めると、母猫や兄弟も寄ってきた。元気になった猫たちがジオラマ上で遊ぶ姿をSNSに投稿すると「面白い」と話題に。全国から客が集まるようになり、海外メディアでも紹介される人気店になった。

 「猫たちのおかげで今がある。これからは猫たちに恩返しをしたい」と話す寺岡さんは、店の2階に保護猫ステーションを開設し、飼い主探しなどの保護猫支援を始めた。猫にジオラマを壊されては修理する毎日だが、「今日もたくさん壊したなあ」と猫なで声で話しかけている。【長崎薫】